DIU、大規模組織再編 技術領域を3つに集約

ディフェンススクープ(DefenseScoop)は7月6日、国防総省(Department of Defense)の国防イノベーション・ユニット(Defense Innovation Unit: DIU)による、従来の7つの運用ポートフォリオを解体・統合する大規模再編計画について報じた。新たに就任したオーウェン・ウェスト局長(Owen West)が主導しており、実戦配備のスピード、規模、殺傷能力に焦点を当て、小規模かつ焦点を絞った現実的な問題領域に専門家とリソースを集中させるという。特に軍へ低コストかつ迅速に戦闘力を提供することを目的としており、新体制では、ドローンと自律型戦闘、指令や統制などを担うキル・ウェブ(Kill webs)、価格や能力で飛躍的な転換をもたらす「10倍(10x)」技術の3分野を中心に構成される。また、これまで独立したポートフォリオとして扱われていた人工知能(AI)は、単独分野としての扱いではなく、今後全ての活動に組み込まれる。今週中にもこの新構造について公式発表がある見込みである。 DefenseScoop “DIU reshaping its tech priorities and portfolio teams under new leadership” (07/06/26) DIU reshaping its tech priorities and portfolio teams under new leadership

航空宇宙局、月面着陸機4ミッションに約6億ドル投入

スペースニュース(SpaceNews)は6月30日、航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)が月面基地計画の一環として、総額5億9,040万ドルに上る無人月面着陸機の4ミッションに3社を選出したと発表した。採択されたのはアストロボティック・テクノロジー社(Astrobotic Technology)、ファイアフライ・エアロスペース社(Firefly Aerospace)、インテュイティブ・マシーンズ社(Intuitive Machines)で、いずれも2028年末までに打ち上げが予定されている。月面全体のデータ網構築に向け、各着陸機には3種類の衛星関連機器(ペイロード)を搭載し、着陸時の危険性把握や月面の環境データ収集を行う。また、原子力電源(放射性同位体熱電発電機: Radioisotope Thermoelectric Generator: RTG)搭載した火星探査車「プロミス(PROMISE)」を月へ送り込む検討を進めており、夜間や永久影領域での活動を行う計画である。一方で、ニューグレン発射台の再建が進んでいることにも触れており、NASAは2027年内の飛行再開を示唆した。 SpaceNews “NASA awards nearly $600 million in lunar lander missions” (06/30/26) https://spacenews.com/nasa-awards-nearly-600-million-in-lunar-lander-missions/

独立機関トップの罷免 「正当な理由」なくとも可能に 最高裁判決

米国物理協会(American Institute of Physics: AIP)は7月6日、トランプ大統領が連邦取引委員会(Federal Trade Commission: FTC)の民主党系委員レベッカ・スローター氏(Rebecca Slaughter)を解任した訴訟における最高裁判所の判決により、正当な理由がなくとも、大統領が独立行政機関の委員を解任できるようになったと伝えた。具体的には、独立行政機関における雇用保障を撤廃するもので、判決は、FTCなどの委員に関し「職務怠慢」などの正当な理由がなければ罷免できないとする連邦法の規定を違憲と判断した。これにより、連邦通信委員会(Federal Communications Commission: FCC)や原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission: NRC)など、同様の法的保護を受ける他の独立機関の立場も危うくなったと記事は指摘している。ニール・ゴーサッチ判事(Neil Gorsuch)は補足意見で「議会が独立機関に巨大な権限を与えすぎている」と言及し、これらの権限を、本来あるべき議会や裁判所へ戻すべきと主張している。 AIP “Supreme Court allows president to fire independent agency leaders without cause” (07/06/26) https://www.aip.org/newsletter/0000019f-3d40-d0a4-abbf-7dc2e1d90000

主要AI企業、開発加速も安全対策が後退 FLI報告

独立系NPOのフューチャー・オブ・ライフ・インスティチュート(Future of Life Institute: FLI)は7月、人工知能(AI)モデルが高性能化する一方で、安全性が低下しているとの調査結果を発表した。同機関の最新安全性指標評価によると、首位のアンソロピック社(Anthropic)でも総合評価はC+にとどまり、オープンAI社(OpenAI)やグーグル・ディープマインド社(Google DeepMind)はC評価となった。審査員らは、各社がリスク水準近接レベルで開発を一時停止するという従来誓約を形骸化させていると指摘し、業界安全枠組みの弱体化を指摘した。また、軍事利用を原則禁止していた企業が相次いで方針転換し、軍との協力を積極的に模索し始めていることも新たなリスクとなっている。なお、エックスAI社(xAI)や中国のディープシーク社(DeepSeek)、欧州のミストラル社(Mistral)は不合格にあたるF評価となった。国連(United Nations)は「人間と機械が共存できる条件を設定できる最後の世代」とし、国際的なガバナンスの早急な整備を呼びかけている。 Future of Life Institute “AI Safety Index” (07/07/26) https://futureoflife.org/wp-content/uploads/2026/07/AI-Safety-Index-Summer-2026-Digital.pdf 参照記事: Axios “AI companies retreat from safety pledges even as capabilities grow” (07/07/26) https://www.axios.com/2026/07/07/report-ai-safety-pledges

国防総省、SOI基盤技術開発に1,600万ドル投入

国防総省(Department of Defense)は7月7日、ミサイルや宇宙、戦略システムに極めて重要な耐放射線マイクロエレクトロニクス(Radiation-hardened Microelectronics: RHM)の国内生産能力拡大に向け、7月2日付でBAEシステムズ社(BAE Systems)へ1,600万ドルを投じると発表した。国防生産法(Defense Production Act: DPA)に基づくもので、BAE社の「RH45®」機能を再構築し、特定用途向け高耐放射線性45 nm(ナノメートル)のシリコン・オン・インシュレーター(Silicon-on-Insulator: SOI)技術による集積回路などの生産を拡大する。事業を統括する軍事活動投資・資源配分・執行局(Warfighting Investment, Resourcing, and Execution: WIRE)は45 nm技術の活用継続により、各防衛事業におけるシステム再設計や再認定に伴う巨額のコスト回避につながると説明した。同案件はWIRE局が2026年に開始した総額1億260万ドルを投じた5つの産業案件の1つで供給網(サプライチェーン)強化により抑止力の再構築や軍の再建を支えていく取り組みである。 Department of Defense “Department of War Invests $16M for 45nm Silicon-on-Insulator Qualification” (07/07/26) https://www.war.gov/News/Releases/Release/Article/4534935/department-of-war-invests-16m-for-45nm-silicon-on-insulator-qualification/

量子計算機による核融合燃料生産向け材料の分子構造計算に成功

IBM社は7月6日、オークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory: ORNL)と医療機関のクリーブランド・クリニック(Cleveland Clinic)と協働し、核融合エネルギー燃料「トリチウム」生産のために必要なフッ素やリチウム、ベリリウムなどの有力材料について、量子計算機を用いた9つの分子構造計算に成功したと発表した。IBM社の156量子ビット「ヘロン(Heron)」プロセッサとORNLのスパコン基盤に加え、クリーブランド・クリニックが培ったデータ処理技術を応用し、原子レベルでの複雑な電子挙動や結合の強さを極めて高精度に解明した。自然界で極めて希少なトリチウムの確保と原子炉安定化に必要な電子の量子的挙動計算に向け、人工知能(AI)や従来スパコン、アルゴリズムを融合したことで実用的な科学ツールとしての有用性を実証した。今後は古典リソースからのデータ転送時間短縮や分子相互作用模擬試験の規模拡大を進め、材料設計工程の確立を目指していくという。 IBM “Oak Ridge National Lab, Cleveland Clinic, and IBM Achieve First-Known Computations of Fusion Materials on a Quantum Computer” (07/06/26) https://newsroom.ibm.com/2026-07-06-oak-ridge-national-lab,-cleveland-clinic,-and-ibm-achieve-first-known-computations-of-fusion-materials-on-a-quantum-computer 参照記事: NEXTGOV/FCW “IBM, Oak Ridge and Cleveland Clinic unveil quantum-powered novel fusion energy research” (07/06/26) https://www.nextgov.com/emerging-tech/2026/07/ibm-oak-ridge-and-cleveland-clinic-unveil-quantum-powered-novel-fusion-energy-research/414599/?oref=ng-homepage-river

NIST新所長にアービンド・ラマン氏就任

米国標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology: NIST)は7月6日、第18代所長にアービンド・ラマン氏(Arvind Raman)が就任したと発表した。5月18日に上院承認を経て、6月30日付で正式に就任した。ラマン氏は標準・技術担当商務次官補も兼任し、創立125周年を迎えるNISTにおける人工知能(AI)を半導体や量子計算、バイオテクノロジー、先端製造業分野研究を促進し、科学的根拠に基づく標準開発を主導していく。今回の任命に際し、ハワード・ラトニック商務長官(Howard Lutnick)は、革新的な研究における同氏のこれまでの指揮経験が国の技術発展に貢献し、製造業の繁栄を支えると期待を示した。同氏は以前、パデュー大学(Purdue University)で工学部長を務めたほか、NISTのナノテクノロジー研究者とも共同研究を行っていた。就任に際し、産業界や起業家との連携を通じて米国のイノベーション能力を最大化していくと抱負を述べている。 NIST “Arvind Raman Confirmed as the 18th NIST Director” (07/06/26) https://www.nist.gov/news-events/news/2026/07/arvind-raman-confirmed-18th-nist-director

エネルギー省、非在来型石油・ガス回収と随伴水管理技術開発に最大1億5,000万ドル

エネルギー省(Department of Energy)の炭化水素・地熱エネルギー局(Hydrocarbons and Geothermal Energy Office: HGEO)は7月6日、石油・天然ガス開発事業に最大1億5,000万ドルを提供すると発表した。主に非在来型貯留層からの回収効率、水圧破砕特性評価技術、随伴水管理技術開発に関する共同出資事業を対象としており、同局は、技術イノベーションによる雇用創出、電気料金の削減、世代を超えた経済的利益につなげていく考えを示した。未開発のままの膨大な石油・ガス資源の回収率が10%未満にとどまっていることから、この資金機会通知(Notice of Funding Opportunity: NOFO)では、回収率向上に向け非在来型貯留層への二酸化炭素圧入などを含む新技術の導入、回収コスト低減支援に加え、診断技術を用いた水圧破砕の挙動解明による操業効率化、さらにペルミアン盆地などでの深刻化している随伴水の地下処分削減と有益な再利用を促進する処理技術の実証試験に関して募集を行う。申請の締め切りは、10月5日の午後5時(東部時間)までとなっている。 Department of Energy “Energy Department Announces Up to $150 Million to Boost Unconventional Oil and Gas Recovery, Advance Hydraulic Fracture Characterization, and Revolutionize Produced Water Management” (07/06/26) https://www.energy.gov/hgeo/articles/energy-department-announces-150-million-boost-unconventional-oil-and-gas-recovery

トランプ政権、アンソロピック社製最先端AIモデルの輸出制限を解除

ポリティコ誌(Politico)は6月30日、トランプ政権がアンソロピック社(Anthropic)の最先端人工知能(AI)モデル「フェイブル5(Fable 5)」と「ミュトス5(Mythos 5)」に対する輸出制限を同日夜に解除したと報じた。政府が要求する安全リスクの検知・対処や今後のリリースに関する政府との連携、「悪意ある活動」の報告義務に同社が同意した。ソフト悪用によるサイバー攻撃の懸念から両モデルへのアクセスが遮断されていたが、同社は自社ホームページで、一般向けFable 5への世界的なアクセスを7月1日に再開すると発表した。さらに強力なMythos 5についても国内外の特定パートナー向けに利用拡大を進める方針を示している。一方で、競合のオープンAI社(OpenAI)も最先端モデル「ChatGPT-5.6」の提供制限対象となったことから、業界内では政府による場当たり的かつ予測不可能な政策決定を不安視する向きがあると記事は伝えており、不透明な規制プロセスを是正し、一貫した枠組み構築に期待するという声が高まっているという。 Politico “Trump lifts limits on Anthropic’s Fable and Mythos models” (06/30/26) https://www.politico.com/news/2026/06/30/anthropic-wh-lifting-export-limits-00980865

海軍、新型対レーダー・ミサイルの増産を模索

海軍航空システム司令部(Naval Air Systems Command: NAVAIR)は7月1日、敵の防空網を制圧・無力化する能力強化に向け、年間最大600発の新型先端電磁波妨害抑制ミサイル(Advanced Emission Suppression Missile: AESM)供給を打診する情報提供依頼書(RFI)を公開した。実用的な試作段階(技術成熟度レベル6)以上の「成熟した設計」を求めており、先端レーダーを標的とする先進シーカーやF-35戦闘機への機内・機外搭載が可能な互換性などを要件に挙げた。一方で、空対空攻撃能力や既存ミサイルを上回る射程といった一部仕様の記述は今回見送った。2月時点で年間最大300発を見込んでいたが、イラン戦争に伴い需要が2倍となったことが背景にある。また現在、同海軍は射程延伸型の「AGM-88G先進対レーダー誘導ミサイル拡張型(Advanced Anti-Radiation Guided Missile Extended Range: AARGM-ER)」について、ロケットモーターやソフトウェア開発遅延により調達を一時停止しており、再開は2028年度になる見通しを示している。 DefenseNews “US Navy seeks to boost production of new anti-radar missile” (07/03/26) https://www.defensenews.com/industry/techwatch/2026/07/02/us-navy-seeks-to-boost-production-of-new-anti-radar-missile/