連邦地裁、政権交代による優先事項変更を理由とした補助金打ち切りを無効と判決

インサイド・ハイヤー・エド(Inside Higher Ed: IHE)は7月21日、マサチューセッツ州連邦地方裁判所がトランプ政権に対し、政権の優先事項の変化のみを理由として大学や研究機関への連邦助成を打ち切ることはできないとする判決を下したと報じた。大統領府行政管理予算局(Office of Management and Budget: OMB)の規定をめぐり訴訟を起こした23州の主張を認めたもので、オバマ政権によって任命されたインディラ・タルワニ判事(Indira Talwani)は、受給者が応募する時点で条件を明確に周知すべきであり、事後的な政策変更を理由とした不支給は認められないと判断した。判決は既存及び今後の助成保護につながるものの、OMBが現在進めている規定改定案が成立した場合は再び政権の判断で変更が可能となる懸念も残っている。この提案に対し、高等教育団体や研究擁護団体からの反対の声を含む49万件以上のパブコメが集まっており、専門家からは議会による明確な法整備を求める声が上がっている。 IHE “Trump Administration Can’t Cite Changed Priorities to Terminate Grants” (07/21/26) https://www.insidehighered.com/news/government/science-research-policy/2026/07/21/agencies-cant-cite-changed-priorities-terminate

宇宙商業局、新規宇宙ミッションの「宇宙商業認定」を開始へ

商務省(Department of Commerce)の宇宙商業局(Office of Space Commerce: OSC)は7月23日、民間宇宙事業の承認手続きを迅速化する「宇宙商業認定(Space Commerce Certification)」構想を次段階へ進めると発表した。業界パートナーや連邦政府、大統領府と連携し、新たな宇宙ミッションの認証プロセスを数ヶ月以内に開始し、国内企業による革新的な宇宙機能の開発や市場参入の迅速化を支援する。今後数週間以内に連邦官報を通じて、関心表明に関する募集を発表する予定で、今回の取り組みに関して、ハワード・ラトニック商務長官(Howard Lutnick)は、数兆ドル規模の巨大産業として見込まれる宇宙産業において、同省が率先してイノベーションを牽引していく姿勢を示している。また、テイラー・ジョーダンOSC局長(Taylor Jordan)も米国の競争力強化と経済貢献に向け貢献していく構えを見せた。 OSC “All Systems Go: OSC Moves Out on “Space Commerce Certification”” (07/23/26) All Systems Go: OSC Moves Out on “Space Commerce Certification”

海軍海事研究局、新科学技術戦略を公開 海軍・海兵隊向け

海軍海事研究局(Office of Naval Research: ONR)は7月22日、国防総省(Department of Defense)が直面する課題に対応するための新たな科学技術戦略を発表した。技術競争の激化や戦闘様式の変化に対応すべく、技術開発と配備姿勢を根本から転換するよう提言しているほか、長期的な革新的技術の育成と即応需要のバランス確保を目指すよう促している。推進にあたっては「フィード・アット・スピード(FEED at Speed)」と呼ばれる方針を掲げ、研究と成果の実用化に向けた新たな枠組みを中心とした取り組みを優先し、民間での解決が困難な海軍独自の課題への集中(Focus)、関係者へその意義とプログラム実行移行への経路に関する明確な説明(Explain)、防衛エコシステムや民間産業との連携強化(Engage)、試作にとどまらず実装展開に向けた取り組み(Deploy)、また人工知能(AI)活用による研究の加速(Speed)を柱としている。ONRは開発技術の現場の艦隊や部隊への迅速な導入により同省全体の任務に貢献できるとし、これら原則遵守の意義を唱えている。 ONR “ONR Announces New 2026 Science and Technology Strategy for Navy, Marine Corps Tech Future” (07/22/26) https://www.onr.navy.mil/media-center/news-releases/onr-announces-new-2026-science-and-technology-strategy-navy-marine-corps

国務省、生成AI導入に関する手引を公開

NEXTGOV/FCWは7月24日、国務省(Department of States)が連邦機関向けに生成人工知能(AI)技術活用の枠組みを示した手引書を公開したと報じた。高度生成AI実行におけるチェックリストを公開しており、AIガバナンス戦略の策定から小規模プロジェクトの実証、共有基盤の構築まで段階的な導入工程についてまとめている。他機関への応用も可能で、同省が開発した機密指定外の要保護情報(Sensitive but not classified information: SBU)を扱う内部システム「ステートチャット(StateChat)」やエネルギー省(Department of Energy)がAI基盤に組み込んだチャットボット「ヨウリックス(Joulix)」についても触れている。具体的には、単一のツールに限定せず複数機能を構築できる拡張可能な基盤構築や、ユーザーの習熟度に応じた支援ツール構築の重要性を指摘しており、議会に対してもAIの不正利用防止に関する複数法案可決を促しているほか、セキュリティ部門との連携やユーザーへの段階的なアクセス拡大ほか、効果測定の必要性も提言している。 NEXTGOV/FCW “State department releases playbook for generative AI” (07/24/26) https://www.nextgov.com/artificial-intelligence/2026/07/state-department-releases-playbook-generative-ai/415006/?oref=ng-homepage-river

エヌビディア社、オープンソース型AI連合を結成 37社が参画

エヌビディア社(NVIDIA)は7月27日、信頼性と安全性の高いAI技術利用を推進するため、業界企業とともにオープンソース(無料公開型)のツール群を開発・共有する新アライアンス(連合)「オープン・セキュアAIアライアンス(Open Secure AI Alliance)」を結成したと発表した。マイクロソフト社(Microsoft)やIBM社などの主要IT・サイバーセキュリティ関連企業37社が参画し、オープン型AIモデルや防衛スタックの活用を通じてサイバー防衛能力の拡充を図る。チャットGPT(GPT-5.6)によるハギング・フェイス社(Hugging Face)のインフラ侵入問題で、オープンソース型AIが被害の封じ込みに貢献し、緊急時のサイバー防衛における公開技術の必要性が再認識されたことが背景にある。オープン技術を用いた脆弱性の検出・修復やリアルタイムでの検証プロセスを構築し、特定ベンダーへの依存を回避する方針を示しており、政策立案者にも、オープンソース型AIを一律に規制するのではなく、防御的な資産として評価するよう呼びかけている。 NVIDIA “Industry Leaders Unite in Open Secure AI Alliance for AI Safety and Security” (07/27/26) https://blogs.nvidia.com/blog/open-secure-ai-alliance/ 参照記事: NEXTGOV/FCW “Over 30 companies form open-source AI alliance” (07/27/26) https://blogs.nvidia.com/blog/open-secure-ai-alliance/

EPA、独立型発電施設向け規制を緩和 データセンター向け対応

環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)は7月27日、公共の電力網に接続しない独立型の発電施設に対して、大気浄化法(Clean Air Act: CAA)に基づく酸性雨対策プログラム(Acid Rain Program: ARP)を適用しないとする指針を発行したと発表した。地域住民への電気代転嫁を防ぐ「料金負担者保護誓約(Ratepayer Protection Pledge)」を推進するもので、売電を行う施設やエネルギー省(Department of Energy)への報告義務がある施設を対象としており、電力網に接続しない発電施設は電力を販売せず、報告義務もないため適用外と結論付けた。データセンター向けの自立型発電施設の開発や運用の機会を拡張し、開発事業者に対して立地や建設を迅速化できるよう支援すると同時に、環境保護にも配慮しつつ地域電力網への負荷低減も図る取り組みであるが、将来、このような独立型施設が電力網に接続された場合は、プログラムの適用対象となる可能性があるとも説明している。 EPA “EPA Issues Permitting Guidance to Further President Trump’s Agenda Promoting Data Centers and Safeguarding Communities” (07/27/26) https://www.epa.gov/newsreleases/epa-issues-permitting-guidance-further-president-trumps-agenda-promoting-data-centers

DIU、海洋訓練・作戦課題向けモジュール型ペイロードを公募

国防イノベーション・ユニット(Defense Innovation Unit: DIU)は7月8日、拡張性と費用対効果に優れた海上訓練技術を募る「スペキュラーMIST賞金チャレンジ(Specular MIST Prize Challenge)」を開始したと発表した。海軍迅速能力局(Department of the Navy Rapid Capabilities Office: DONRCO)と海軍情報戦センター太平洋(Naval Information Warfare Center Pacific: NIWC PAC)による有人・無人水上艇(Unmanned Surface Vessels: USVs)に搭載する自律型&コンテナ型ペイロード試作開発と生産を加速する取り組みで、総額500万ドルを投入する。脅威レーダー・シミュレーターや電子攻撃、電子監視機能の3分野を対象とし、自立型無人水上艇(USV)と統合できる遠隔操作が可能なシミュレーターや、複数信号に対応するリアルタイム適応型妨害機能を備えたマイクロ波無線周波数を開発するとし、7月29日まで提案を受け付ける。採択された企業は南カリフォルニア沖での洋上実証試験を経て、生産移行急速な実戦配備や量産化へ移行する計画となっている。 DIU “DIU Presents: Specular MIST Prize Challenge” (07/08/26) https://www.diu.mil/work-with-us/submit-solution/PROJ00684

DIU、地上発射型長距離精密打撃システムを公募 コスト効果高い兵器に焦点

国防イノベーション・ユニット(Defense Innovation Unit: DIU)は7月22日、コスト効果が高く、大量導入が可能な地上発射型長距離精密打撃システムを開発する取り組み「地上発射型低価格大量攻撃(Ground-Based Affordable Mass: G-BAM)」を開始すると発表した。総額最大2億5,000万ドルを投じ、射程600海里(約1,110km)以上、積載量最低35~100ポンド以上、1機あたりの量産コスト25万ドル以下で生産できる、GPSが制限された電子戦環境下でも運用可能なシステムを開発する取り組みで、60~90日以内の実証及び12~18ヶ月以内の量産化が可能な化学、精密機器、航空宇宙などの先進技術を持つ国内外の企業に参加を呼びかけている。DIUは長期紛争に向け、月産100機以上を目指しており、実績のあるソリューションに関心を示している。また自立型かつコンテナ長期保管後の即時稼働が可能なものとし、その維持管理負担も条件とした。なお、今回イギリス国防省(UK Ministry of Defense)と包括的な連携を推進する旨も併せて発表している。 DIU “Ground-Based Affordable Mass Prize Challenge” (07/22/26) https://www.diu.mil/work-with-us/submit-solution/PROJ00672

NTIA、6G技術開発で新構想 国際連携体制を構築

商務省(Department of Commerce)の国家電気通信情報局(National Telecommunications and Information Administration:NTIA)は7月27日、新構想「6G主導権と安全性確保のための行動喚起(Call to Action for 6G Leadership and Security)」を開始したと発表した。次世代通信規格の6Gネットワーク開発とその運用に関するロードマップで、ヨーロッパ、インド太平洋、西半球における20カ国以上のパートナー政府と協力し、ビジョンを共有する。2025年12月の大統領覚書に基づく取り組みで、NTIAは今後1年かけて同ネットワークのセキュリティや相互運用性、復旧力強化に向けて各国と連携していく方針を示した。また、次世代網の構築と運用には人工知能(AI)が中心的な役割を果たすとし、商用化を見据えた戦略的調整と民間主導のイノベーション推進を促していく。NTIAは今回の取り組みについて、国の安全保障、外交政策、経済繁栄の基盤になると説明し、民間部門のイノベーション開拓に向けたマイルストーンと位置付けている。 NTIA “NTIA Launches Global “Call to Action for 6G Leadership and Security”” (07/27/26) https://www.ntia.gov/press-release/2026/ntia-launches-global-call-action-6g-leadership-and-security

PNNLとAWS社、AI開発で連携 電力網安定化に向け

パシフィック・ノースウエスト国立研究所(Pacific Northwest National Laboratory: PNNL)は7月27日、悪天候や電力需要の急増、サイバー攻撃などの脅威に対応する最先端人工知能(AI)ツールの検証に向け、アマゾン・ウェブ・サービス社(Amazon Web Services: AWS)と提携したと発表した。データセンターなどによる急激な負荷変動や障害発生時などの複雑な状況下における電力網の信頼性と復旧力の向上に向け、AIを活用したリアルタイム分析や意思決定支援システムを構築する。既存の生成AIによる誤情報(ハルシネーション)を防ぐため、電力インフラ運用施設に物理法則などの専門知識を組み込んだ「ニューロシンボリックAI(Neuro-symbolic AI)」技術を導入し、様々なシナリオをテストする。主に現実的なシミュレーション環境、革新的なセンサー及び監視ツールを開発し、運用担当者の負担軽減を図るとし、実用的かつ人間中心の方法を基盤としつつ、AIを効果的に活用し、消費者への価格転嫁なく安全で信頼性が高い国内電力網構築を目指す。 PNNL “PNNL and Amazon Partner to Advance AI Tools for a More Reliable, Secure and Affordable Grid” (07/27/26) https://www.pnnl.gov/news-media/pnnl-and-amazon-partner-advance-ai-tools-more-reliable-secure-and-affordable-grid