オバマ大統領、米国競争法に署名

オバマ大統領は1月4日、米国競争法(America COMPETES Act)の再承認法案に署名した。同法は、科学的教育や基礎研究への連邦支援を拡大することにより、米国の経済的競争力を押し上げることを狙いとしている。2007年に初めて成立した米国競争法は、米国アカデミー(National Academies)が作成した報告書『巻き起こる嵐を乗り越えて(Rising Above the Gathering Storm)』の勧告に基づいて策定されたものである。最近、同報告書の改訂版『改訂版:カテゴリー5への急速な接近(Revised: Rapidly Approaching Category 5)』が作成されており、同改訂版は質の高い雇用を巡る世界的競争で米国の能力は低下し続けていると警告した上で、教育および基礎研究への継続的投資が必要であると訴えている。 The National Academies “Congress Renews America Competes Act” (1/4/11)

マサチューセッツ州、炭素排出削減目標を設定

マサチューセッツ州は12月29日、州内の住宅、車、企業から排出される温室効果ガスを向こう10年間で1990年比で25%削減する計画を発表した。この目標値はカリフォルニアやニューメキシコなど地球温暖化に強い対策姿勢を示しているその他の州に匹敵する。ただし、義務付けられた目標値達成のために業界ごとに規制を設定したカリフォルニア州と異なり、マサチューセッツ州の取り組みは、再生可能エネルギーの利用義務付けやビル建設のためのエネルギー効率基準、複数の州政府間の合意に基づいて実施されている地域的温室効果ガス・イニシアチブ(Regional Greenhouse Gas Initiative)など既存のプログラムに大きく依存していることが特徴である。 The New York Times “Massachusetts Sets Targets to Slash Carbon Emissions” (12/29/10)

中小企業向けのSBIRとSTTRの継続法案が可決されずに議会は閉会

中小企業技術革新制度(Small Business Innovation Research:SBIR)と中小企業技術移転制度(Small Business Technical Transfer:STTR)の拡大を目指した法案が、上院では議会最終日に全会一致で可決されたものの、下院で可決されず、2011年1月31日に失効する両制度の先行きが一段と不透明になっている。上院と下院は、SBIRとSTTRに拠出される研究費が全体の外部研究支援予算に占める割合(上院は引き上げを、下院は現行継続を支持)や、最大助成金額の引き上げ(上院は下院案よりも低い金額を支持)などで意見の一致が見られなかった。下院が共和党主導となる次期議会でも、両制度を巡る議論は続くと予想される。 ScienceInsider “In Congress, Small Business Research is a Lame Duck Loser” (12/27/10)

IBM、NATO司令部にクラウドコンピューティング・システムを構築へ

IBM社は北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty Organization:NATO)向けにクラウドコンピューティング・システムを構築する。IBM社はバージニア州ノーフォークにある軍事指令内で「プライベート・クラウド・モデル(顧客は独自のセキュリティシステム内でサーバーに情報を入力できる)」を利用してNATOのデータを管理することになる。このシステムにより、司令部がレーダーシステムやカメラ、赤外線画像など従来は別々であった情報源から情報を収集することが可能になる。IBM社が構築する同システムは、ノーフォークの軍事司令部でまず利用され、その後その他の部門に拡大される可能性があるという。 The Bloomberg Businessweek “IBM Creates Cloud-Computing System for NATO Command” (12/27/10)

専門科学修士が米国の大学で注目される

1990年代半ばに一部の大学で初めて導入された専門科学修士(Professional Science Master: PSM)が、近年米国の大学で人気となりつつある。PSMは、科学または数学と企業経営学を組み合わせた大学院の履修課程コースであり、2008年には58大学で提供されていたが、今学年度はそのほぼ倍にあたる103の大学で提供されている。一般的な履修課程コースは2年間で、修士論文は必要とされないが、学生は実体験を得るためにインターンシップまたはプロジェクトベースで企業で働かなくてはいけない。PSM支持派は、技術化が進む米国および世界経済で必要とされる学位として定着していくと期待しているが、研究を重視するトップ大学の教員の中には、新しい修士号を作ることに反対意見を示す者もいる。 The New York Times “A Master’s for Science Professionals Sweeps U.S. Schools” (12/26/10)

グーグル出身のマクローリン副CTOが辞任へ

大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy:OSTP)の副最高技術責任者(deputy chief technology officer)であるアンドリュー・マクローリン氏(Andrew McLaughlin)が辞任することが明らかになった。同氏は、グーグル社(Google)で世界公共政策責任者を務め、オバマ次期大統領(当時)の政権移行チームで活躍した後、OSTPの副CTOに就任した。マクローリン氏の辞任は12月30日に正式発表される。同氏は今後、新たに二つのスタートアップ事業を開始するという。 POLITICO “Former Googler leaving White House” (12/22/10)

インテルからスピンオフしたソーラー電池企業が工場操業停止

インテル社(Intel)は2008年に、ソーラースタートアップ事業をスピンオフさせ、スペクトラ・ワット社(Spectora Watt)というベンチャー企業を立ち上げたものの、同社は現在工場を閉鎖し、従業員110名を解雇したと見られる。スペクトラ・ワット社は、創業当時は5,000万ドルの投資資金を集め、昨年には事業拠点をオレゴン州からニューヨーク州に移転させ、同社初の工場や新本社を設立しており、2010年5月には工場を正式に操業開始させたところであった。同社は、ソーラー市場を取り巻く厳しい経済的環境を工場閉鎖の理由として挙げている。 EE Times “Report: Intel’s solar spinoff shuts down” (12/22/10)

エネルギー省、燃料電池の研究開発に最高7,400万ドルの助成を発表

エネルギー省は12月22日、定置型および輸送向けで、クリーンで信頼性の高い燃料電池の研究開発を支援するため、最高7,400万ドルの助成金を給付すると発表した。公募の内容は2種類あり、一つはコスト削減や耐久性の強化、燃料電池システムの効率性向上を狙いとした燃料電池のコンポーネント(触媒や膜・電極一体構造など)に関する継続的研究開発を対象とするもので、向こう3年間で最高6,500万ドルを提供する。もう一つは、現在の研究イニシアチブにおける技術の進捗状況の評価や今後の燃料電池および水素貯蔵に関する研究開発努力のガイドとなる、独立したコスト分析の実施に対し最高900万ドルを助成するというものである。 U.S. DEPARTMENT OF ENERGY “DOE Announces up to $74 Million for Fuel Cell Research and Development” (12/22/10)

米国、中国の国内風力エネルギー業界助成はWTO違反と提訴

米国政府は12月22日、中国政府が国内の風力エネルギー製造企業の支援を目的として行っている、「風力製造のための特別基金(Special Fund for Wind Power Manufacturing)」において、受益機関に中国製の部品を使用するよう義務付けている点と助成金額は、いずれも世界貿易機関(World Trade Organization:WTO)の規則に違反しているとして提訴した。米国政府による提訴を米国企業は賞賛している。今回の提訴は、去る9月に鉄鋼労働組合(United Steelworkers union)が米通商代表部(U.S. Trade Representative:USTR)に対して行った、中国政府による国内グリーン技術企業保護策に対する苦情申し立ての一部であり、その他の問題点は現在審査中となっている。 Bloomberg Businessweek “Obama’s China Wind-Power Complaint Backed by Companies” (12/23/10)