AI拡大で水・電力・金属がひっ迫 バンカメ報告

バンク・オブ・アメリカ研究所(Bank of America Institute)は6月、人工知能(AI)普及に伴うデータセンター急増が、水や電力、各種資材など「資源ショック」を引き起こしているとの報告書を発表した。AI利用が日常化する中、水の消費量は莫大となり、データセンター使用量の最大75%が敷地内冷却ではなく、敷地外の発電プロセスやハードウェア製造に充てられており、1日あたり数百万リットルが間接的に消費されていると指摘した。これに対し水道事業者による水量監視は総量のわずか一部のみで、影響の全体像を把握できていないという。またAI推論処理の増加に伴い画像処理半導体(Graphics Processing Unit: GPU)搭載サーバーによる電力需要も年約30%のペースで急増し、電力網への大きな負荷となっている。総エネルギー供給量よりも必要な場所に確実かつ継続して電力供給できるかどうかに課題が移行しつつある上、データセンター容量が1メガワット増えるごとに、銅を中心に約60〜75トンの金属も必要となっていることも指摘した。 Bank of America “Data center construction creates a resource shock” (06/XX/26) https://institute.bankofamerica.com/sustainability/data-center-construction.html 参照記事: Axios “Sobering numbers on data centers’ resource needs” (06/05/26) https://www.axios.com/2026/06/05/data-centers-resource-needs-environmental-stakes

下院歳出委員会、来年度NIH予算の微増を提案

サイエンス誌(Science)は6月4日、下院歳出委員会が、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)の2027年度基本歳出を前年度から1億ドル増額した473億ドルとする歳出法案を発表したと報じた。大統領側は10月1日から始まるNIHの新年度予算の12%削減や一部研究所の廃止を提案していたが、これを退ける形となった。一方で、疾病対策センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)の予算は11%減の81億ドルに削減した。この下院案によりNIHは弱体化を免れたものの、生物医学界には新たな懸念も生まれた。具体的には、病原体を強化する「機能獲得(Gain-of-Function: GOF)研究」やイヌ・ネコを用いた苦痛を伴う生物医学研究の禁止、さらに一部の私立研究機関に対する間接経費を30%に制限するといった条項が含まれており、広範な研究活動への影響に加え、生物学的安全性やバイオセキュリティへの懸念が指摘されている。記事は、下院歳出委員会全体での審議を経て、今後数か月かけて上院案との調整が進められる見通しと伝えている。 Science “House spending panel proposes slight raise for NIH in 2027” (06/04/26) https://www.science.org/content/article/house-spending-panel-proposes-slight-raise-nih-2027

専門家らがDNA合成への審査義務付けを提言 AIによる生物兵器製造リスクで 

大手AIやバイオ企業幹部、国家安全保障分野の専門家らは6月3日、人工知能(AI)による生物兵器の製造リスクが高まっているとして、連邦議会に対し、合成DNA委託事業や製造機器に関する審査・記録保持を法的に義務付けるよう求める共同書簡を発表した。書簡にはオープンAI社(OpenAI)やアンソロピック社(Anthropic)、グーグル・ディープマインド社(Google DeepMind)の各社トップをはじめ、50人超の関係者が名を連ね、AI進歩は科学や医学に多大な恩恵をもたらす一方、専門知識のない者が病原体や毒素を、悪意を持って製造することを可能にすると指摘している。また現在、多くの企業が自主的審査を行っているが、企業への審査を義務化して、問題のある遺伝子配列検出や発注元の身元確認など、追跡に向けた詳細な記録保持を徹底するよう求めた。議会では、既に超党派の生物安全保障現代化・革新法案(Biosecurity Modernization and Innovation Act)が提出されているが、書簡は国家標準の確立に向け、今会期中の成立を強く求めている。 Open Letter “In Support of Mandatory NucleicAcid Synthesis Screening and Recordkeeping” (06/03/26) https://prod-i.a.dj.com/public/resources/documents/dnaletter.pdf 参照記事: Science “AI executives join call for stricter regulation of synthetic biology” (06/03/26) https://www.science.org/content/article/ai-executives-join-call-stricter-regulation-synthetic-biology

電波共有調査、評価プロセスの明確化を GAO勧告

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は6月5日、国防総省(Department of Defense)が進める無線通信の周波数帯域の民間共有や転用に関する調査で、民間参画者への透明性確保や文書化された調査手順が確立されていないと指摘した。通信やレーダー、戦術無線や標的追跡、暗視ゴーグルなどの兵器システムに特定電波を活用する同省は、携帯電話ネットワークなど高まる民間需要に応じるため、国家電気通信情報局(National Telecommunications and Information Administration:NTIA)と共同で、周波数帯の民間利用に関し調査しているが、民間から寄せられた意見への評価基準や意思決定への反映方法を明確に説明していないという。民間は時間やリソースを投じて調査に協力しており、参画者の間で懸念が生じているとし、GAOは調査協力継続に向け、外部からの意見の評価プロセスを明確にした方針策定や、関連機関の責任分担を明記した共同アプローチの文書化を同省とNTIAに勧告した。両機関はいずれもこの勧告に同意している。 GAO “Spectrum Management: DOD and the National Telecommunications and Information Administration Should Improve External Collaboration” (06/05/26) https://www.gao.gov/products/gao-26-107873

フォガティ国際センター新所長にスティーブン・シフ氏

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)は6月4日、傘下のフォガティ国際センター(Fogarty International Center)の次期所長兼NIH国際研究担当副所長に、小児脳神経外科医でグローバルヘルス研究者のスティーブン・シフ氏(Steven Schiff)が同日付で就任したと発表した。シフ氏は約40年に亘り、グローバルヘルスや微生物疾患の疫学、小児神経疾患の研究に携わり、予測に基づく個別化公衆衛生概念の開発や、発展途上国における乳幼児感染症の制御に関わってきた。また、新生児敗血症の原因となる重大な脳感染症、新生児パエニバシラス症(Neonatal Paenibacillus)特定に関する実績がある。さらに、神経工学や脳神経分野に特化した複数の研究センター設立にも寄与しており、直近ではエール大学(Yale University)の脳神経外科教授などを務めていた。今後は世界の研究者との連携強化支援や、次世代グローバルヘルス科学者の育成を主導し、年間約9,500万ドルの同センター予算を統括していくという。 NIH “NIH Selects Dr. Steven Schiff as Director of Fogarty International Center, Associate Director for International Research” (06/04/26) https://www.nih.gov/news-events/news-releases/nih-selects-dr-steven-schiff-director-fogarty-international-center-associate-director-international-research

商務省、パワレックス社へ3,000万ドル拠出 コンバーター供給を強化 

米国標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology: NIST)は6月5日、商務省(Department of Commerce)が半導体メーカーのパワレックス社(Powerex)に3,000万ドルを投じると伝えた。CHIPS法(Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors Act)に基づく支援で、国内パワーモジュールの生産拡大に向け、ペンシルベニア州にある同社生産施設の拡張整備と研究開発に充てる。同社は、防衛システムや産業用モータ駆動、電気自動車などの重要部品である炭化ケイ素(SiC)型に加え、高電圧型や絶縁ゲート型バイポーラ・トランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor: IGBT)パワーモジュールを製造しているほか、トランジスタ、整流器、サイリスタ、ディスクリートデバイス、高出力半導体ソリューションも製造する国内重要メーカーで、その先端技術は商業用、産業向けインフラから、次世代軍用装備に至るまでのあらゆる電圧変換に関連する電子関連部品の製造に寄与している。 NIST “Department of Commerce Announces Finalization of CHIPS Incentives with Powerex to Enhance Domestic Production Capacity of Key Components for U.S. Semiconductor Manufacturing” (06/05/26) https://www.nist.gov/news-events/news/2026/06/department-commerce-announces-finalization-chips-incentives-powerex-enhance

エネルギー省、石炭火力4事業に3.5億ドル投資へ

エネルギー省(Department of Energy)は6月4日、石炭ベースの発電能力や送電網整備、戦略的エネルギーインフラ強化に向け、4つの石炭整備事業に最大3億5,000万ドルを投じると発表した。電力効率の向上や発電所の稼働延長、ベースロード発電支援を目的とする集中的な改修計画を通じて国内の石炭発電体制を拡張・活性化するもので、年間約300万世帯分の電力を賄う約3,565メガワット(MW)の発電容量追加や維持を見込む。具体的には、アラスカ州アンカレッジとウェストバージニア州マウント・ストームでの計2,850MW規模の発電所新設や、プエルトリコ・グアヤマにある既存施設の改修のほか、2024年に操業停止したメリーランド州カンバーランドの施設の再稼働を計画しており、同省は一連の事業に計5億2,500万ドルを拠出する予定で、これには発表済み6事業への1億7,500万ドルも含まれる。政府は石炭産業への圧力政策を転換し、安価かつ安定したエネルギーの長期供給を通じて、国の安全保障を確立したい考えである。 Department of Energy “Energy Department to Invest $350 Million to Build, Modernize, and Restart Coal Plants” (06/04/26) https://www.energy.gov/articles/energy-department-invest-350-million-build-modernize-and-restart-coal-plants

エネルギー省、石炭発電と輸出拠点整備に5億ドル

エネルギー省(Department of Energy)は6月4日、国内13の石炭火力発電所と新たな石炭輸出インフラ支援に向け、最大5億ドルを投じると発表した。国防生産法第3編(Defense Production Act: DPA、Title III)に基づき、国内の石炭発電体制を拡張・活性化するための12事業に最大4億2,500万ドルを配分するほか、カリフォルニア州オークランドにおける年間1,000万トン以上のばら積み貨物の輸送処理に向けた鉄道直結型の海上輸出ターミナル新設事業「ウェスト・ゲートウェイ・ターミナル・プロジェクト(West Gateway Terminal Project)」に最大7,500万ドルを充てる。西海岸の輸出能力拡張により、アジア同盟国へのエネルギー輸出を加速するほか、石炭採掘バリューチェーン強化や安定供給に向けたベースロード電源の確保、重要エネルギーインフラ整備を強化する。この法的権限活用を通じて安保強化に必要な産業能力とエネルギー資源を維持する方針で、西海岸の輸出ボトルネックを解消し、インド太平洋地域における同盟国との連携を強化する姿勢を示した。 Department of Energy “Energy Department to Use Defense Production Act Funding to Expand Coal Capacity at 13 Plants and Build Export Infrastructure ” (06/04/26) https://www.energy.gov/articles/energy-department-use-defense-production-act-funding-expand-coal-capacity-13-plants-and

次世代小型原子炉「マーク・ゼロ」が初の臨界達成 商業化へ前進

エネルギー省(Department of Energy)は6月4日、アンタレス・ニュークリア社(Antares Nuclear)が開発した先進原子炉「マーク・ゼロ(Mark-0)」が、アイダホ国立研究所(Idaho National Laboratory)でのゼロ出力試験に成功したと発表した。同省の原子炉実証プログラム(Reactor Pilot Program)の一環で、この原子炉安全運転技術により来年以降の次世代原子炉による発電開始に向けた基盤が整ったと説明している。国内における民間非軽水炉の臨界達成は40年以上ぶりで、トランプ大統領が昨年5月に設定した7月4日までの臨界達成における初事例となり、同データは原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission: NRC)による今後の商用原子炉認可や設計に活用される。将来的な商業化に向け、地上や宇宙での用途ほか、軍事施設の備えとしても活用が期待されており、こうした先進的技術の普及加速に向けて、同省はこのほど新事業「原子力エネルギー・ローンチパッド(Nuclear Energy Launch Pad)」を設立したことも併せて発表している。 Department of Energy “Department of Energy Celebrates First Advanced Reactor Criticality” (06/04/26) https://www.energy.gov/articles/department-energy-celebrates-first-advanced-reactor-criticality

トランプ大統領、最先端AI利用促進で新指針   

大統領府は6月5日、トランプ大統領が人工知能(AI)に関する国家安全保障大統領覚書へ署名し、関連部門への最先端AIシステム導入・活用に向けた新枠組みを確立したと発表した。前線部隊や情報機関への先端技術配備加速が目的で、最先端AIモデルの調達のほか、次世代型高セキュリティー計算施設の建設や、民間の専門家から構成される「AI国家安全保障戦略予備役(AI National Security Strategic Reserve)」の創設を推進する。これに伴い、前政権による覚書を新基準に置き換え、国防総省(Department of Defense)に対しては、兵器システムの自律性に関する主要指針を毎年見直すようを義務付けた。さらに、AI技術の適切な活用により戦場や民間人への被害を最小化できると説明し、前線システムを許可なく無効化または改変することを禁止した。政府はまた、表現の自由に関する検閲や国民への不法監視には決して使用しないと強調し、憲法に基づく責任の所在を明確にしつつ、民間との新たな提携を通じて脅威から最先端技術を保護していく構えである。 The White House “Fact Sheet: President Donald J. Trump Signs Historic Directive on AI in the National Security Enterprise” (06/05/26) https://www.whitehouse.gov/fact-sheets/2026/06/fact-sheet-president-donald-j-trump-signs-historic-directive-on-ai-in-the-national-security-enterprise/