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その他

世界銀行、原子力発電所建設への融資を再開

ニュークリアー・ニュースワイアー(Nuclear Newswire)は6月14日、世界銀行(World Bank)が原子力発電所への融資再開を決定したと報じた。同行のアジェイ・バンガ総裁(Ajay Banga)は、小型モジュール炉(Small Modular Reactors: SMRs)の新規建設と既存原子炉の運転期間延長に対する支援を表明し、電力は基本的人権であり、発展の基盤であると職員向けメールで説明した。同行が原子力発電所建設に融資するのは1959年のイタリアの原子力発電所以来となる。これに先立ち、スコット・ベッセント財務長官(Scott Bessent)は4月に新興国のエネルギー供給革新につながるとして融資再開を支持していた。バンガ総裁は、気候変動対策と数億人のアフリカの人々への電力供給拡大の両立を目指す方針を示している。 NuclearNewswire “World Bank to fund SMRs and nuclear life extensions” (06/18/25) https://www.ans.org/news/2025-06-13/article-7111/world-bank-to-fund-smrs-and-nuclear-life-extensions/

テキサス州、100以上の新規ガス発電所建設を計画

インサイド・クライメート・ニュース(Inside Climate News)は6月11日、人工知能(AI)や重工業需要への対応に向け、テキサス州で100以上の新規ガス火力発電所の建設計画があると報じた。非営利団体の環境インテグリティ計画(Environmental Integrity Project: EIP)の報告によるとこれらの発電所は総発電容量5万8,000メガワット(MW)で、米国の一般家庭800万世帯分に相当する。すでに4施設が建設中で、33施設が許可を取得し、98施設が計画段階にあり、60以上のプロジェクトが2028年末までの完成を目指しているという。この動きは同州の電力需要が2030年までに倍増するとの予測に対応するものであるが、報告書はこれらの発電所から年間1億1,500万トンの温室効果ガスが排出されることになり、これは2,700万台のガソリン車の排出量に相当すると指摘している。同州は2023年と2025年の議会で、新規ガス発電所向けに総額100億ドルの低利融資の投入を決定したが、風力や太陽光発電への支援は行われていない。 Inside Climate News “Developers Propose More Than 100 New Gas Power Plants in Texas” (06/11/25) Developers Propose More Than 100 New Gas Power Plants in Texas

NIH、反DEIとイスラエルボイコット政策で二転三転

米国物理協会(American Institute of Physics: AIP)は6月16日、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)が多様性・公平性・包摂性(Diversity, Equity, and Inclusion: DEI)プログラムの制限とイスラエル関連機関へのボイコット禁止に関する方針を撤回したと発表した。NIHは4月に導入した方針を一旦撤回し、その後短期間再導入したものの、今回、説明なく再度撤回するという異例の対応を取っている。この制限方針は、トランプ大統領が1月に発令した大統領令に対応したものであり、5月に同様の制限を導入した米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は現在も方針を継続している。この一連の出来事は、DEIプログラムを巡る連邦機関の政策決定の不安定さを浮き彫りにしている。 AIP “NIH does 540° turn on anti-DEI and boycott policy” (06/16/25) https://www.aip.org/fyi/the-week-of-june-16-2025

連邦議会、2026年度大統領予算案で提案された連邦科学予算縮小に反対

連邦議会は、2026年度大統領予算案で提案された連邦科学予算縮小に反対姿勢を表明している。例えば、大統領府は、農務省の研究プログラム予算削減を提案しているのに対し、下院歳出委員会は、6月11日に行った2026年度農業・農村開発・食品医薬品局関連省庁(Agriculture, Rural Development, Food and Drug Administration, and Related Agencies)歳出法案マークアップにおいて、これらに2025年度実績とほぼ同額を割り当てている。また、上院歳出委員会労働・保健福祉・教育関連省庁小委員会(Subcommittee on Labor, Health and Human Services, Education, and Related Agencies)が同10日に開催した2026年度国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)大統領予算案に関する公聴会では、上院歳出委員会委員長のスーザン・コリンズ上院議員(Susan Collins、メイン州選出共和党)が予算180億ドル削減要求は憂慮すべきことと発言した他、同小委員会委員長のシェリー・ムーア・カピト上院議員(Shelley Moore Capito、ウェストバージニア州選出共和党)は、生物医学研究支援を優先すべきと主張した。さらに、上院歳出委員会内務・環境関連省庁小委員会(Subcommittee on Interior, Environment, and Related Agencies)が同11日に開催した公聴会でも、大統領府が森林サービス予算大幅削減・研究プログラム廃止を提案していることに対し、ジェフ・マークレー上院議員(Jeff Merkley、オレゴン州選出民主党)が、優秀な科学プログラムに投資すべきと発言している。 Science “Congress shows first signs of resisting Trump’s plans to slash science budgets” (06/13/25) https://www.science.org/content/article/congress-shows-first-signs-resisting-trump-s-plans-slash-science-budgets

JAG、連邦政府による大学研究間接費支払いシステムを改善するモデルを提案

共同学術協会グループ(Joint Association Group:JAG)は、連邦政府による大学研究間接費支払いシステムに関し、プロセスをより効率化する2つのモデル案を明らかにした。連邦資金受給研究における間接費は、通常、研究助成総額の40~65%であるが、用途は大学による裁量に任されており不透明で、当該研究とは直接関係のない目的で使用されることもある。JAGリーダーで、第1次トランプ政権では2019年から大統領科学顧問を務めたイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(University of Illinois Urbana-Champaign)総長付特別顧問のケルビン・ドローゲマイヤー氏(Kelvin Droegemeier)は、大学による間接費の使い方には改善の余地があると認めながら、間接費支給額を研究助成の一律15%とするトランプ政権による提案は望ましくないとしている。JAGは、①研究機関の種類及び研究の特質に応じて間接費率を設定、②各研究プロジェクトで生じた支出をカテゴリー別に分類して研究機関が支出詳細を報告、という2つのモデルを提案している。ドローゲマイヤー氏は、2つのモデルの要素を組み合わせた案を今後大統領府及び連邦議会に提示したいとしている。 Science “U.S. academics call for reforms in research overhead payments, hoping to avoid drastic cuts” (06/16/25) https://www.science.org/content/article/u-s-academics-call-reforms-research-overhead-payments-hoping-avoid-drastic-cuts

ITIF、バイ・ドール法の地域経済に対する影響を分析

情報技術イノベーション財団(Information Technology and Innovation Foundation:ITIF)は6月16日、バイ・ドール法(Bayh-Dole Act)が地域経済成長に及ぼす影響に関する報告書を発表した。この中でITIFは、バイ・ドール法が米国大学の技術移転エコシステムに好影響を与えているものの、大統領府が提案している連邦研究資金縮小や知的財産没収などは、米国の大学主導イノベーションを脅かすものと警告した。また、同法の影響を最も大きく受ける分野は生命科学で、200以上の新薬及びワクチンが大学技術移転に端を発するとした。さらに、特に、コロラド州・デラウェア州・ジョージア州・インディアナ州・カンザス州・ノースカロライナ州において、バイ・ドール法の下で大学が取得した特許及び大学ベンチャーが地域経済成長に大きく貢献している例も挙げている。なお、現政権による研究・開発を停滞させる動きに関しては、大学に対し、①技術移転促進を目的とする企業とのパートナーシップ締結、②学内での商業化インフラ強化、③教育・卒業生対象の研修へのアントレプレナーシップ導入、などを提案する一方、連邦政府・政策決定者に対しては、大学研究開発への公的投資拡大や研究開発税控除の拡大・改善などを提案している。 Information Technology and Innovation Foundation “Federal Tech-Transfer Law Pays Tremendous Dividends as Research Universities Spark Regional Economies; New Report Details Impact of Bayh-Dole Act” (06/16/25) https://itif.org/publications/2025/06/16/federal-tech-transfer-law-pays-tremendous-dividends-as-research-universities-spark-regional-economies-new-report-details-impact-of-bayh-dole-act/

トランプ大統領の貿易及び税政策により、米国の蓄電池ブームが鈍化

バイデン前政権及び連邦議会による近年の寛大なインセンティブを受け、蓄電池製造が米国内で本格的に始動し始めていたが、トランプ政権及び連邦共和党議員が、中国による米国市場へのアクセスを制限しようとする中、蓄電池生産は停滞し始めたようである。ミシガン州マーシャルでフォード自動車(Ford Motor)が30億ドルを投じて建設中の蓄電池工場は来年から自社の電気自動車向け蓄電池を生産する予定であったが、フォード自動車は中国の蓄電池企業大手から技術ライセンスを受けており、現在審議中の下院法案の下では同中国企業は連邦助成金の対象とはならない。サウスカロライナ州やワシントン州でも、蓄電池生産工場への大型投資の再検討や建設遅延などが生じている。トランプ大統領の政策法案は、米国にとって困難なジレンマを呈する。米国は国内に蓄電池産業を創出し、中国への依存を削減したいと望んでいるが、中国は既にこの業界で支配的存在となっており、米国が中国企業の協力を得ずに重要なプレイヤーとなることは極めて難しいとみられている。 New York Times “Trump’s Trade and Tax Policies Start to Stall U.S. Battery Boom” (06/16/25) https://www.nytimes.com/2025/06/16/business/energy-environment/trump-battery-factories-electric-vehicles.html

米国中西部におけるバイオ燃料の再考 世界資源研究所報告

世界資源研究所(World Resources Institute)は6月10日、「米国中西部におけるバイオ燃料の再考(Rethinking Biofuels in the US Midwest)」と題する報告書を発表した。中西部における第一世代のバイオ燃料が環境、経済、社会に及ぼす影響について論じたもので、トウモロコシや大豆をベースとするバイオ燃料が、どのようにして土地利用の変化や温室効果ガス排出の増加、水質の劣化、不平等な経済的恩恵に影響しているかを分析している。バイオ燃料を航空向けに使用することへの関心が高まる中、本報告書は政策策定者に対して、将来の気候及び農業政策におけるバイオ燃料の役割について再度評価し、中西部コミュニティ及び生態系のためにより持続可能で公平な代替策を模索するよう要請している。 World Resources Institute “Rethinking Biofuels in the US Midwest” (06/10/25) https://www.wri.org/research/rethinking-biofuels-us-midwest

NIH、助成金打ち切りの判断に一貫性が見られず

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)は、政治的に問題のあるトピックに関する助成金を既に1,700件以上打ち切りにしているが、更に約3,200件のグラントを再審査及び打ち切りの可能性のある事案として挙げている。これまでに実施された助成金打ち切りの合法性を問う訴訟において、原告側は「NIHは、証拠開示手続きの一部として関連文書を提出する義務に違反している」と主張している。NIH側は、「打ち切りの対象となる助成金選定方法に関する正式な指針文書はない」または「それらは特権に基づくものであり、開示する必要はない」と主張している。しかし、サイエンス誌(Science)が入手したNIHの内部指示書によれば、その手法には一貫性がなく、一部は再審査の条件定義に矛盾が見られるという。 一例として、多様性・公平性・包括性(Diversity, Equity, and Inclusion: DEI)に異なる定義があるという。6月16日に行われる法廷審問の中核は、これまでの打ち切りは、恣意的で一貫性がないものであったか否か、つまり合理的な意思決定に基づくものではなかったのかという点となっている。 Science “Exclusive: NIH documents reveal inconsistencies in grant terminations as agency reviews 3200 more” (06/13/25) https://www.science.org/content/article/exclusive-nih-documents-reveal-inconsistencies-grant-terminations-agency-reviews-3200

蓄電池により電力網の信頼性が強化 NERC報告

北米電力信頼性コーポレーション(North American Electric Reliability Corp.: NERC)が発表した「2025年信頼性に関する報告:2024年のバルク電力システムのパフォーマンス評価(2025 State of Reliability: Assessment Overview of 2024 Bulk Power System Performance)」によれば、2024年には北米で気象関連の事象が30件あり、合計で10億ドル以上の損害をもたらしたが、これまでの同様規模の事象とは異なり、運用者が主導して行う負荷遮断には至らなかったという。一方、北米の電力網にとり、データセンターなどの大規模負荷の増加などは課題になっているが、蓄電池エネルギー貯蔵システムが極めて集中している地域では信頼性の改善が見られる。一例として、テキサス州では2024年に電力網の周波数を安定させるための調整サービスに必要な電力容量の全てを蓄電池が供給した事態が複数回あったと報告している。 North American Electric Reliability Corporation “2025 State of Reliability” (June 2025) https://www.nerc.com/pa/RAPA/PA/Performance%20Analysis%20DL/NERC_SOR_2025_Overview.pdf https://www.utilitydive.com/news/batteries-grid-state-of-reliability-nerc/750649/