Category:その他
NIH、長官諮問委員会を解散
トランプ政権は、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)のジャヤンタ・バッタチャリア長官(Jayanta “Jay” Bhattacharya)に助言を行う長官諮問委員会(Advisory Committee to the Director: ACD)を解散したことを発表し、今後、新たな委員を任命して、ACDを再招集するという。ACDは1966年に設立された委員会で、外部の専門家で構成され、遺伝子工学からセクシャル・ハラスメントまで多岐に亘る問題について長官に助言する。NIHの親組織である厚生省(Department of Health and Human Services)は5月下旬に、ACDの10名の委員に任務の終了を伝えたという。関係者の中からは、ACD委員として、多様な見解を求めるよりも、バッタチャリア長官の見解を反映させる人物が選出されるのではないかと懸念する声もある。 NIH director is replacing his top outside advisory board https://www.science.org/content/article/nih-director-replacing-his-top-outside-advisory-board
EPA、ジオエンジニアリングと飛行機雲に関するオンラインリソースを発表
環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)は7月10日、ジオエンジニアリングと飛行機雲に関する新たなオンラインリソースを発表した。一般市民が持つ疑問と懸念に答えるのが目的であり、ジオエンジニアリングと飛行機雲に関する最新科学、研究、その他の情報についてEPAの知識を全て紹介する。EPAは、いわゆる「飛行機雲」の大気現象の科学的な仕組みについて説明し、数十年に亘って広まってきた噂や誤解にも対応している。今回、特にソーラー・ジオエンジニアリング活動に特化したオンラインリソースも作成している。オンラインリソースは、現行のジオエンジニアリングを取り巻く現在の科学・研究を取り上げており、オゾン層の破壊、作物への悪影響、気象パターンの変化、酸性雨の発生など、環境や人の健康に及ぼす可能性のある否定的な影響も含んでいる。 Environmental Protection Agency “EPA Releases New Online Resources Giving Americans Total Transparency on the Issues of Geoengineering and Contrails” (07/10/25) https://www.epa.gov/newsreleases/epa-releases-new-online-resources-giving-americans-total-transparency-issues
国防長官、「米国による軍事ドローン支配の展開」を通達
ピート・ヘグセス国防長官(Defense Secretary, Pete Hegseth)は7月10日、国防総省(Department of Defense)の上層部、戦闘司令部司令官、国防局ディレクター宛てに、「米国による軍事ドローン支配の展開(Unleashing U.S. Military Drone Dominance)」と題するメモを通達した。これによると、国防総省は、不要な政策と官僚手続きを排除することで、小型で廉価の多数のドローンを、それらを必要とする兵士に提供する計画であるという。また、ヘグセス長官は、米国のドローン産業を支援するトランプ大統領の大統領令に従い、重要技術の生産とアクセスの妨げとなる制約的なドローン・イノベーション政策を廃止するとしている。長官は、本件に関するミッションとして、①新興の米国ドローン製造基盤を強化する、②技術的進展を支え、様々な低費用の米国製ドローンを戦闘部門へ提供する、③戦闘部門がドローンの使用方法について十分な訓練を受けることを確実にする、の3点を挙げている。 Department of Defense “Unleashing U.S. Military Drone Dominance” (07/10/25) https://media.defense.gov/2025/Jul/10/2003752117/-1/-1/1/UNLEASHING-U.S.-MILITARY-DRONE-DOMINANCE.PDF
NSF、主要技術投資の地域経済と雇用創出に関する影響を測定するパイロット事業を拡大
米国科学財団(National Science Foundation: NSF)技術・イノベーション・パートナーシップ総局(Directorate for Technology, Innovation and Partnerships:TIP)は、NSFアイデア産業(NSF Industries of Ideas: NSF IofI)イニシアチブに今後3年間で1,000万ドルを投資することを発表した。これは、AIを中心とした技術へのTIPによる研究投資が地域経済・雇用成長にもたらした影響を定量的に評価することを目的として、過去2年間に亘ってオハイオ州で行なわれたパイロット事業を拡大するものである。来年はニュージャージー州でのAI投資の影響を評価し、その後の2年間で更にその他の部門と州に拡大する計画である。このイニシアチブは、ミシガン大学(University of Michigan)、オハイオ州立大学(Ohio State University)、ニューヨーク大学(New York University)による共同作業である。 National Science Foundation “NSF expands pilot effort to measure the impact of its key technology investments on regional economic growth and job creation across America” (07/10/25) https://www.nsf.gov/tip/updates/nsf-expands-pilot-effort-to-measure-impact
ARPA-H、脳の機能を修復し、患者の自立復帰を支援
医療高等研究計画局(Advanced Research Projects Agency for Health:ARPA-H)は7月10日、「新皮質組織の機能修復(Functional Repair of Neocortical Tissue: FRONT)」プログラムを発表した。脳の機能を修復し、米国を脳の修復技術における世界的リーダーとして位置付けるための革新的なイニシアチブである。FRONTプログラムの主要な優先事項として次の点が挙げられている。①慢性疾患対策(脳卒中などによる慢性新皮質脳損傷に関する根治療法の開発)、②経済成長とイノベーション(脳の機能修復によって米経済に年間8,000億ドル(試算)の節約をもたらすなど)、③退役軍人及び兵士の支援(外傷性脳損傷に効果的な治療の開発)、④社会的影響(深刻な脳損傷に苦しみ、日常生活を介護に頼っている数百万人に新たな希望をもたらす)。FRONTプログラムは5年に亘って実施され、革新的ソリューション公募(Innovative Solutions Opening)を通じてプロジェクトを募集する。 ARPA-H “ARPA-H launches program to restore brain function and return patients to independence” (07/10/25) https://arpa-h.gov/news-and-events/arpa-h-launches-program-restore-brain-function-and-return-patients-independence
Natcast、計算用電力・性能・面積改善のための配線材料及び統合プロセスに関する情報を要請
Natcastは、革新的な材料及び統合プロセスに焦点を当てたモノリシック(単一)のバックエンド・オブ・ライン(backend of line: BEOL)配線に関して提案されている研究イニシアチブについて、一般からの情報を模索する「情報の要請(request for information: RFI)」を発表した。トランジスタの密度向上に伴う電力と性能の進展は、BEOL配線の微細化による抵抗(R)と容量(C)の増大によって相殺されつつある。本プログラムの狙いは、配線におけるRC遅延に対処する新規の材料及び統合プロセスについて探究することである。本RFIの主たる目的は、潜在的なオンダイBEOL配線(チップ本体上のBEOL配線)に関するNSTC研究プログラムのR&Dロードマップを形成する一助として、広範な関係機関から洞察や勧告を得ることである。 Natcast “Request for Information: Interconnect Materials and Integrated Processes for Power-Performance-Area (PPA) Improvement in Compute Applications” (07/10/25) Request for Information: Interconnect Materials and Integrated Processes for Power-Performance-Area (PPA) Improvement in Compute Applications
PNNL、許認可の速度と質を高める「パーミットAI」プロジェクト
米国エネルギーの促進に必要なインフラの構築には、許認可の加速が必要であることから、パシフィック・ノースウェスト国立研究所(Pacific Northwest National Laboratory: PNNL)はエネルギー省(Department of Energy)政策局(Office of Policy)と協力し、データ、AI、公共アクセスを通じた連邦許認可プロセスの速度と質の向上を目指す「パーミットAI(PermitAI)」を開発中である。連邦政府は過去50年に亘り、連邦プロジェクト向けに実施されてきた国家環境政策法(National Environmental Policy Act:NEPA)審査用に作成された数十万件の文書を蓄積しているが、これらの文書は個別に保管されることが多いため、この中から必要な情報を特定し、再利用することは容易ではない。PNNLは、これらの環境文書を様々な連邦データベースから収集し、AIを使って機械判読が可能なデータセットに変換する「NEPAテキスト・コーパス(NEPA Text Corpus: NEPATEC)」を開発しており、2024年にNEPATEC1.0を発表している。PNNLはまた、NEPATEC文書を使って大規模言語モデルを訓練し、連邦環境分析の速度と質を高めるツールの開発にも取り組んでいる。このツールによって歴史的なNEPA文書やプロジェクト情報の検索がより効率的になる他、潜在的な問題の特定と対処が迅速に行うことが可能になると期待されている。パーミットAIプロジェクトは、8月にNEPATEC2.0、年末までに同3.0が発表される計画である。 Department of Energy “Faster, Better Permitting with PermitAI” (07/10/25) https://www.energy.gov/policy/articles/faster-better-permitting-permitai
脱炭素化社会に向けたロードマップ、地方自治体の炭素排出量とコスト両方の削減を支援
気候変動対策へのコミットメントを表明する全米の市長ネットワーク「クライメイトメイヤーズ(Climate Mayors)」とベオリアノースアメリカ社(Veolia North America)は7月7日、脱炭素化社会に向けたロードマップ「よりクリーンな未来の構築:脱炭素化構築に関する地方自治体による活動手引書(Building A Cleaner Future: A Guide For Local Government Action On Building Decarbonization)」を公表した。これは、炭素排出削減とコスト削減の両立に向けて、公共・民間ステークホルダーに対する支援を目指すもので、ベースライン策定、パリ協定(Paris Agreement)及び州の気候目標に沿った目標設定、資金及びパートナーシップの確保、政策インセンティブの作成、脱炭素化目標達成を支援する人材開発・研修などにおいて、市職員を支援するものとなる。 Veolia North America “Building A Cleaner Future: A Guide For Local Government Action On Building Decarbonization” (07/07/25) https://info.veolianorthamerica.com/hubfs/offers/white-papers/sib/2025-climate-mayors-veolia-building-a-cleaner-future-white-paper.pdf
2026年度大統領予算案、連邦政府全体で基礎研究科学予算の34%減を提案
米国科学振興協会(American Association for the Advancement of Science:AAAS)は7月9日、2026年度大統領予算案で提案されている連邦科学研究開発予算の大幅削減に関する分析データを公表した。これによると、特に大きな影響を受ける基礎研究予算は、連邦政府全体で2025年度の450億ドルから2026年度には300億ドルとなり、約34%減になると警告している。基礎研究・応用研究・開発・研究開発施設費を含む科学予算全体では、2025年度の1,980億ドルから1,540億ドルの22%減となる。米国大学協会(Association of American Universities:AAU)政府関係・公共政策担当上級副会長のトビー・スミス氏(Toby Smith)は、大統領予算案が承認された場合、科学・イノベーションにおける世界リーダーとしての米国の役割が終わることになると発言している。AAUは、連邦議会との協力の下で、米国による科学リーダーシップ維持を支援する戦略的投資に向けた予算計画作成に取り組んでいるという。なお、大統領府が5月に発表した2026年度予算案では、米国科学財団(National Science Foundation:NSF)予算を88億ドルから39億ドルに55.8%減とすることなどが提案されている。 The New Yorks Times “Trump Seeks to Cut Basic Scientific Research by Roughly One-Third, Report Shows” (07/10/25) https://www.nytimes.com/2025/07/10/science/trump-science-budget-cuts.html
オハイオ州公益事業委員会、技術企業データセンターによる電力コスト負担増を決定
オハイオ州公益事業委員会(Public Utilities Commission of Ohio:PUCO)は7月9日、電力消費量の高いデータセンターは、電力需要に対してより多額の支払いが必要との決定を下し、AI開発に電力を必要とする技術企業からの反対を却下した。オハイオ州内のデータセンターによる電力消費の影響に関しては、電力会社のアメリカンエレクトリックパワー社(American Electric Power)が、データセンターへの電力供給に必要な送電線のアップグレードに要するコストを補うために、オハイオ州内のデータセンターに対し、月々の支払いを消費電力予想量の60%相当分から90%相当分に増額することを2024年に提案していた。また、消費者擁護団体も、住民が支払う電気料金に影響が出ないよう、技術企業がコストを負担すべきと主張していた。一方、オハイオ州内にデータセンターを保有するメタ社(Meta)やマイクロソフト社(Microsoft)などを含む大手技術企業は、企業に寛大で消費者による負担増となる可能性のある提案を支持していた。技術企業を代表する業界団体のデータセンター連合(Data Center Coalition)は、PUCOの決定に対する失意を表明している。 The Washington Post “Energy costs are rising. This state says tech companies must pay more.” (07/10/25) https://www.washingtonpost.com/technology/2025/07/10/ohio-data-centers-energy-costs/