Category:その他
米国科学振興協会(AAAS)、2026年度R&D予算案を分析
米国科学振興協会(American Association for the Advancement of Science: AAAS)は7月15日、2026年度大統領予算案を分析した結果を発表した。これによると、研究開発費(R&D)は前年度比で22%減の約1,540億ドルであるという。2026年度予算案は、第2期トランプ政権による初の予算案であり、多くの連邦機関における大幅な構造改革と縮小が計画されている。全体で440億ドルの減少となり、基礎研究と応用研究はそれぞれ3分の1以上の予算削減となっている。特に非軍事分野での影響が大きく、軍事R&Dは9.5%減である一方、非軍事分野は35.9%の大幅減である。この動きは科学技術分野に多大な影響を及ぼすと予測され、関係者からは懸念の声が上がっている。 AAAS “FY 2026 R&D Appropriations: Federal R&D Estimates” (07/15/25) https://www.aaas.org/news/fy-2026-rd-appropriations-federal-rd-estimates
グーグル社、ブルックフィールド社から最大3GWの水力発電を購入へ
グーグル社(Google)は、ブルックフィールド・リニューアブル社(Brookfield Renewable)から最大3ギガワット(GW)の水力発電を購入することで合意し、当初は、PMJインターコネクション(PJM Interconnection)とミッドコンチネント独立系統運用機関(Midcontinent Independent System Operator: MISO)のサービス地区から購入する計画を7月15日に発表した。本契約は、「グーグル社のデータセンターやその他の事業を炭素フリー電力で行うことを可能にするもの」であるという。具体的に、契約期間最初の20年間は、ペンシルバニア州にあるブルックフィールド社のホルトウッド(Holtwood)及びセーフ・ハーバー(Safe Harbor)水力発電施設から合計約670メガワット(MW)を購入する。 Utility Dive “Google to buy up to 3 GW of hydro power from Brookfield” (07/15/25) https://www.utilitydive.com/news/google-hydro-power-brookfield-renewables/753039/
州政府、分散型ソーラー発電の評価と消費者保護を推進
NCクリーンエネルギー・テクノロジーセンター(NC Clean Energy Technology Center: NCCETC)は、2025年第2四半期版「50州のソーラー発電(The 50 States of Solar)」を発表した。分散型ソーラー発電政策に関する州の規制や議会における審議・措置について洞察を提供するもので、報告書によれば、48州とワシントンDC、プエルトリコは、2025年第2四半期に何らかの分散型ソーラー政策措置を講じたという。最も多かったのは、ネットメータリング政策関連(68件)で、次いでコミュニティ・ソーラー政策(48件)、住宅用固定料金または最低請求額の引き上げ(39件)となっている。また、同期間中に合計252件の分散型ソーラー政策が講じられ、その数が最も多かった州は、コロラド、コネチカット、バージニア、ミネソタ、ニューヨーク、ニュージャージーとなっている。 NC Clean Energy Technology Center “The 50 States of Solar: States Delve into Distributed Generation Valuation and Consumer Protection in Q2 2025” (07/16/25) The 50 States of Solar: States Delve into Distributed Generation Valuation and Consumer Protection in Q2 2025
研究者の所在地、論文生産性に影響
全米経済研究所(National Bureau of Economic Research: NBER)は今般、「発見が生じる場所:生命科学における研究組織と基礎的知識(Where Discovery Happens: Research Institutions and Fundamental Knowledge in the Life-Sciences)」と題する論文を発表した。米国内の30万名以上の生命科学研究者を対象に、キャリアを通じて移転した研究者の論文(1945~2023年に発表された論文)を追跡調査したもので、それによれば、研究者の生産性の50%以上は、所属する組織に起因するという。この論文は、限りある研究資金をどのように配分すべきか、また、助成金が一部の大手大学に集中することを防ぐ政策を実施すべきか否かに関する長年に亘る議論に示唆を与えるものである。論文によれば、ボストン地域の研究者の生産性が最も高く、基礎生命科学を網羅する15の専門誌に掲載された年間論文数が、その他の都市圏の研究者と比べて2~3倍となっている。また、さほど生産的でない組織から生産性が高い組織へと移転すると、その研究者の生産性も向上するという。 Science “Large study of scientists who move their labs reveals how location drives productivity” (07/15/25) https://www.science.org/content/article/large-study-scientists-who-move-their-labs-reveals-how-location-drives-productivity
トランプ大統領、ペンシルバニア州でエネルギー・イノベーション・サミット主催
トランプ大統領は7月15日、米国の大手技術・エネルギー企業の幹部や政権高官が参加する中、初となる「エネルギー・イノベーション・サミット(Energy and Innovation Summit)」を開催し、数百億ドルに上る複数の大型投資を発表した。その中には、グーグル社(Google)によるデータセンター及びインフラへの250億ドル投資、ブラックストーン社(Blackstone)によるデータセンター及び天然ガスプラントへの250億ドル投資、コアウィーブ社(CoreWeave)によるデータセンター拡大に60億ドル投資が含まれる。本サミットは、イノベーション、雇用創出、米国の覇権に対する米政権の揺るぎないコミットメントを強調するものである。 White House “President Trump Solidifies U.S. Position as Leader in AI” (07/15/25) https://www.whitehouse.gov/articles/2025/07/president-trump-solidifies-u-s-position-as-leader-in-ai/
ウィリアムズカレッジ、新たな連邦助成申請を行わないことを所属教員に通知
著名教養大学のウィリアムズカレッジ(Williams College)は、国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)及び米国科学財団(National Science Foundation:NSF)に研究助成申請を提出する際に順守すべき多様性・公平性・包摂性(diversity, equity, and inclusion:DEI)関連の規定が明確化されるまで、同大学からの連邦研究助成申請を一次停止することを5月30日付電子メールで所属教員に通知したことが明らかになった。大統領府による連邦省庁への反DEI政策に対し、このような措置を取った高等教育機関は同大学が初となる。ウィリアムズカレッジの対応は、NSF助成採択を受けた同大学所属教員が、新たなDEI条件を理由として助成受給が遅れていることに端を発している。同大学は、教員宛に送付した電子メールにおいて、大統領府が要求する要件は学問の自由を著しく損なうものと主張している。また、司法省は、連邦助成受給研究機関が連邦市民権法に抵触していると民間個人が考える場合、同個人による当該研究機関の告訴を認めるというイニシアティブを5月に新たに発表しており、同大学は、連邦助成受給を拒否することで、同大学が提訴されるリスクを軽減することにもなると電子メールに記載している。なお、ウィリアムズカレッジ所属教員は、大学当局の対応に賛否両方の見解を表明している。 Science “Exclusive: U.S. college is first to decline federal science grants because of new DEI language” (06/06/25) https://www.science.org/content/article/u-s-college-first-decline-federal-science-grants-because-new-dei-language
エヌビディア社、中国へのAIチップ販売を再開の見込み
エヌビディア社(Nvidia)は7月14日、中国へのAIチップ販売の再開が可能となったことを発表した。エヌビディア社は、大規模市場における輸出規制問題に直面していたが、同社CEOのジェンセン・ファン氏(Jensen Huang)は、7月にトランプ大統領及び大統領府職員とも面談してAIの利点を強調しており、米国政府は、同社に対してライセンス付与を確実に行うことを確認した。エヌビディア社は、画像処理ユニット(GPU)「H20」の販売をできるだけ早期に再開することを希望している。 Axios “Nvidia to resume chips sales to China” (07/14/25) https://www.axios.com/2025/07/15/nvidia-chips-sales-china?stream=top
OMB、連邦省庁におけるポスト量子暗号基準への完全移行を計画
大統領府行政管理予算局(Office of Management and Budget:OMB)は、ポスト量子暗号(post-quantum cryptography:PQC)基準への完全移行を連邦省庁に指示するメモの草稿を作成中であることが関係者によって明らかにされた。本メモは、連邦政府におけるポスト量子暗号への移行の将来と、第三者技術業者が順守すべき基準の作成について強調するものとなる。同草稿では、政府によるPQC移行の取り組みについて複数の側面に言及しており、①サイバーセキュリティの維持強化、②PQC施行における省庁の統制・監督計画、③高リスクデジタル資産のリストアップ、などといった戦略をPQC移行における重要要素として優先事項に挙げている。また、同メモは、政府と取引する第三者技術業者向けの要件も挙げており、テクノロジーリフレッシュ、ライフサイクルアップデート、クラウド移行などを含むソフトウェアの変更に際し、PQC基準を確実に維持・導入するよう業者に要請することになる。なお、本メモはまだ草稿段階にあり、連邦省庁に送付する日程は、現時点では未定である。 NetGov FCW “OMB draft memo sets agency and vendor quantum security standards” (07/14/25) https://www.nextgov.com/cybersecurity/2025/07/omb-draft-memo-sets-agency-and-vendor-quantum-security-standards/406703/
国防総省、先進AI能力導入促進・国家安全保障問題対応に向けAI企業4社と契約
国防総省首席デジタル・人工知能担当官室(Chief Digital and Artificial Intelligence Office:CDAO)は7月14日、国防総省における先進人工知能(AI)能力導入促進及び重要な国家安全保障問題への対応に向けて米国の最先端AI企業4社を選出し、それぞれ最高2億ドルの契約締結を発表した。選出された企業は、アンスロピック社(Anthropic)、グーグル社(Google)、オープンAI社(OpenAI)、及び、エックスAI社(xAI)の4社で、国防総省は、様々なミッション領域におけるAIワークフロー開発のために、これらの企業の技術・人材を活用する。また、これらの企業とのパートナーシップを通して最先端AI能力の利用・経験を拡大し、米国企業が提供可能な最先端のAI能力を使用して、国家安全保障ニーズの理解・対応能力を向上させることになる。 CDAO “CDAO Announces Partnerships with Frontier AI Companies to Address National Security Mission Areas” (07/14/25) https://www.ai.mil/Latest/News-Press/PR-View/Article/4242822/cdao-announces-partnerships-with-frontier-ai-companies-to-address-national-secu/
2025年度調整予算法、米国世帯当たりで負担するエネルギー費の増加に繋がる見込み
独立研究機関のローディウムグループ(Rhodium Group)は7月11日、トランプ大統領の署名により成立した2025年度調整予算法(One Big Beautiful Bill Act)について、米国エネルギーセクタ全体及び経済に影響を及ぼすとし、2035年までに、米国世帯当たりのエネルギー費は年間平均78~192ドル増、エネルギー業界全体における支出も70億~110億ドル増となると発表した。また、クリーン電力創出能力の拡大を2025年~2035年の10年間で53~59%抑制し、クリーンエネルギー・輸送への投資5,000億ドルが中止される可能性があるとした。さらに、約1,500億ドルの投資と関連するクリーンエネルギー技術製造施設の運用が危機に直面し、これらの製品の米国内需要が大幅に縮小されるとしている。 Rhodium Group “What Passage of the “One Big Beautiful Bill” Means for US Energy and the Economy” (07/11/25) What Passage of the “One Big Beautiful Bill” Means for US Energy and the Economy