全米経済研究所(National Bureau of Economic Research: NBER)は今般、「米国と中国の科学を創出し、結びつける:中国の離散研究者と帰国研究者(Creating and Connecting US and China Science: Chinese Diaspora and Returnee Researchers)」と題する論文を発表した。2000年代の科学研究における米中間の密接な結びつきにより、中国生まれで米国で働く離散研究者(diaspora)と、中国生まれで米国で研究の経験を得た後に中国での研究活動のために帰国した研究者(returnee)の数が増えた。NBERが、研究論文に関する2018年のスコーパス(Scopus )データを分析した結果、米国発の論文の27%に離散研究者が、中国発の論文の38%に帰国研究者が寄与したと試算された。また、論文の質もしくは影響に関しては、離散研究者または帰国研究者による論文は、平均すると、その他の米国発もしくは中国発の論文よりも引用数が多く、サイトスコア(CiteScore)が高い専門誌に占める論文の割合が高い。その他の点も含め、米中間の研究の結びつきには恩恵があるにもかかわらず、研究に関する両国関係は2018年から2020年代初頭にかけてほころび始めており、両国の将来の研究アウトプット及び世界の科学に有害な影響をもたらすかもしれないと結論づけている。