戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies: CSIS)は3月3日、「イノベーションと国家安全保障のための知的財産の確保(Securing Intellectual Property for Innovation and National Security)」と題する報告書を発表した。司法省(Department of Justice: DOJ)の反トラスト部(Antitrust Division)は昨年12月、「公正かつ合理的で非差別へのコミットメントの対象となる標準必須特許のライセンシング交渉と修正に関する政策声明草案(Draft Policy Statement on Licensing Negotiations and Remedies for Standards-Essential Patents (SEP) Subject to F/RAND Commitments)」を発表している(F/RANDは、fair, reasonable, and non-discriminatoryの略)。これは、誠意に基づくライセンス交渉を奨励し、必須技術をF/RAND規約に基づいてライセンス供与することに合意した特許所有者が利用可能な修正策の範囲に対処する取り組みとして推進されたもので、政策草案は無害な行政上の変更のように見えるが、米国のイノベーション・エンジン、ひいては国家安全保障を大幅に損なう可能性を秘めている。こうした中、国防、国家安全保障、特許、規格標準の有力リーダーらは、超党派で結集し、この政策変更案に異論を唱えた。具体的に、「SEPの保護を弱めることで米国のリーダーシップが減退する」と指摘し、更には、「提案は、人工知能(AI)や5Gネットワーク、量子コンピューティングなど、米国の国家安全保障にとって重要な先端技術の支配を目指す中国を援助することにつながる」と主張している。