Category:その他
トランプ政権、半導体設計用ソフトウェアの対中国販売を禁止へ
情報筋によれば、商務省(Department of Commerce)の産業安全保障局(Bureau of Industry and Security:BIS)は、半導体設計に使用されるソフトウェア、いわゆる「電子設計オートメーション(electronic design automation: EDA)」ツールを提供する米国企業に、中国への同技術の提供を止めるよう書簡を送付したという。こうした企業には、ケイデンス(Cadence)、シノプシス(Synopsys)、シーメンスEDA(Siemens EDA)の各社が含まれる。これは、中国による先端半導体開発をより困難にしようとする米政権の新たな試みである。商務省の高官は、「戦略的に重要な案件の対中輸出を見直しているところであり、既存の輸出ライセンスの停止や見直しが完了するまでの間に追加のライセンス要件が課される場合もある」と述べる。米中両国は最近、ジュネーブで貿易取引の合意を目指して90日間の報復関税停止に同意しており、BISの通達はこうした微妙な時期に行われた。 ARS Technica “Trump bans sales of chip design software to China” (05/29/25) https://arstechnica.com/tech-policy/2025/05/trump-bans-sales-of-chip-design-software-to-china/
エネルギー長官、ミシガン州石炭発電所継続命令 石炭支援の新たな段階を示唆
クリス・ライト・エネルギー長官(Chris Wright)は5月23日、ミッドコンチネント独立系統運用機関(Midcontinent Independent System Operator: MISO)及びユーティリティ企業のコンシューマー・エネルギー社(Consumer Energy)に対して、J.H.キャンベル火力発電所(J.H. Cambell plant)の稼働を少なくとも8月21日まで継続するよう命じた。同発電所は5月31日に終了予定であったが、ライト長官は、緊急事態権限を使い、「夏季に予想される需要に対して、指令可能な電源容量が不十分なため」とした。一方で、ミシガン州のユーティリティ規制局は、「州には充分な計画と大幅な生産能力があることから、本件は不要であり、費用の増加をもたらす」としている。トランプ政権2期目は、米国の電力構成における石炭の継続的な縮小を遅らせる姿勢を見せている。 AXIOS “Michigan order signals next stage of Energy Department’s coal support” (05/27/25) https://www.axios.com/2025/05/27/doe-michigan-coal-plant-miso
AIが大学卒業生の就職を阻む
オックスフォード・エコノミクス社(Oxford Economics)が連邦の失業率統計の分析を基に作成した報告書によれば、大学卒業生は就職に苦戦しており、人工知能(AI)がその一端を担っているという。これは、AIがホワイトカラーの労働者の職に取って代わりつつあるという報告や不安な警告に確かな証拠を加える形となっている。オックスフォード・エコノミクス社が、22~27歳の学士号取得者の失業率を調査し、3カ月移動平均で見た結果、そうした人々の失業率は4月にほぼ6%であったのに比べ、労働力全体のそれは4%強であった。AIは、技術の役割を奪い、一部の人が「ホワイトカラー不況(white-collar recession)」と呼ぶ状態を招きつつある。報告書は、「長年に亘り、コンピュータ科学の学位は良い職を得るために有利な学位とみなされてきたが、その有望性は薄れつつあり、技術系の大学卒業生の供給は需要と共に減少する。とはいえ、実際にそうなるにはある程度の時間がかかる」と分析している。 AXIOS “AI is keeping recent college grads out of work” (05/29/25) https://www.axios.com/2025/05/29/ai-college-grads-work-jobs https://www.oxfordeconomics.com/resource/educated-but-unemployed-a-rising-reality-for-us-college-grads/
半導体の労働力不足問題対策に地域間行動の必要性 INC報告書
米国が半導体製造で優れたセキュリティを実現するには、より広範でより良い訓練を受けた労働力が必要である。ネットワーク・コミュニティ研究所(Institute for Networked Communities: INC)が発表した報告書「地域の半導体労働力パイプライン構築における課題 テキサス州オースティンに学ぶ教訓と地域間学習議題(The Challenge of Building a Regional Semiconductor Workforce Pipeline: What Regions Can Learn from Austin, Texas and an Agenda for Cross-Regional Learning)」によれば、米国の半導体分野の求人数は2020年の約8,000人から2022年のほぼ2万5,000人と3倍増となり、2023年から2030年の間に11万5,000件の雇用が創出される。現在の学位取得率では、約6万7,000件の求人が埋まらない見通しである。報告書は、テキサス州オースティンでの実例を基に、業界主導で半導体労働力システムを構築する方法をまとめている。更に、他地域がオースティンの事例から得られる教訓や、地域間の学習と行動ネットワークが必要な理由について掘り下げている。 Institute for Networked Communities “The Challenge of Building a Regional Semiconductor Workforce Pipeline” (May 2025) https://static1.squarespace.com/static/63dbccb959285473ec327b94/t/681b96342f7aaf34476307b0/1746638390662/The+Challenge+of+Building+a+Regional+Semiconductor+Workforce+Pipeline.pdf https://ssti.org/blog/group-calls-cross-region-action-address-semiconductor-labor-shortages
米国計算機学会、科学組織における生成AIの活用実態と懸念事項を発表
米国計算機学会(Association for Computing Machinery)は4月25日、科学組織における知識労働者(ナレッジ・ワーカー)の生成人工知能(AI)活用実態と懸念事項に関する調査結果を発表した。具体的に、シカゴ大学(University of Chicago)とアルゴンヌ国立研究所(Argonne National Laboratory)の研究チームは、科学・運営部門の計66名の従業員を対象に調査を実施したところ、生成AIは、コード作成(常時使用9.1%、頻繁に使用13.6%、時々使用15.2%)やメール作成(常時使用3%、頻繁に使用9.1%、時々使用22.7%)やライティングなどの草稿作成における適切なトーンへの変換や定型的な文書作成において活用されていることが明らかになった。研究者によるAIの利用形態は、共同作業型とワークフロー代行型の2種類に分類することができるという。一方で、誤情報生成やデータセキュリティ、学術出版への影響、雇用への影響などの懸念点も浮上した。特に科学組織特有の懸念として未発表・機密・独自データの扱いや学術論文作成における倫理的問題を指摘している。 ACM “Generative AI Uses and Risks for Knowledge Workers in a Science Organization” (04/25/25) https://dl.acm.org/doi/10.1145/3706598.3713827 参照:SSTI “Research provides insights into how employees are using AI and their concerns about the technology ” (05/29/25) https://ssti.org/blog/research-provides-insights-how-employees-are-using-ai-and-their-concerns-about-technology
ラインウェバー財団、理論物理学研究に9,000万ドル寄付
サイエンス誌(Science)は5月28日、ラインウェバー財団(Leinweber Foundation)が理論物理学の博士研究員や大学院生への支援に9,000万ドルを寄付すると報じた。ソフトウェア業界で財を成した慈善家のラリー・ラインウェバー氏(Larry Leinweber)が同分野における国際的なリーダーシップ維持を願い「国への投資」として実現したもので、長年横ばい傾向であった同分野において若手研究者増員や安定的なポスドク職創設につながることが期待されている。具体的には、ラインウェバー理論物理研究所(Leinweber Institutes for Theoretical Physics)をシカゴ大学(University of Chicago)やマサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology: MIT)、カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)に設立する。また、高等研究所(Institute for Advanced Study、ニュージャージー州)には同理論・量子物理学フォーラム(Leinweber Forum for Theoretical and Quantum Physics)が設置される。これら4つの新規研究所は、2017年に設立されたミシガン大学(University of Michigan)のラインウェバー理論物理研究所と協力し、優先順位を共有していくことになる。 Science “Philanthropist gives $90 million to support theoretical physics research” (05/28/25) https://www.science.org/content/article/philanthropist-gives-90-million-support-theoretical-physics-research
クリーンエネルギー導入堅調、パイプライン投資は3,280億ドルに拡大 ACP報告
アメリカン・クリーン・パワー協会(American Clean Power Association: ACP)は5月29日、2025年第1四半期に7.4ギガワット(GW)の実用規模が実現し、国内投資額が100億ドルに達したと発表した。民間部門の積極的な投資により太陽光、風力、蓄電設備の新設稼働が加速し、クリーンエネルギーの国内設備容量が320GWを超え、約8,000万世帯分の電力を賄うことが可能になったという。蓄電容量も前年同期比65%増の30GWを超え、過去最高の1.6GWが四半期で導入された。パイプラインの開発計画は前年同期比12%増の184GWに達し、完成により総額3,280億ドルの投資となる見込みである。テキサス州のクリーン電力運用は80GW超となり、前年同期比で20%以上増加し、国内最大となった。同産業の成長は共和党支持州で特に顕著で、約65万人の雇用と年間34億ドルの税収・土地賃貸収入をもたらしている。同協会は一貫した政策支援の重要性を強調し、電力需要拡大に対応した信頼性の高い計画構築が急務と提言している。 ACP “Clean Energy Pipeline Grows to $328 Billion, with 184 GW Primed for Deployment” (05/29/25) Clean Energy Pipeline Grows to $328 Billion, with 184 GW Primed for Deployment
量子センサー技術への継続投資訴え CNAS報告
新米国安全保障センター(Center for a New American Security: CNAS)は5月28日、量子センサー技術が全地球測位システム(Global Positioning System: GPS)及び位置特定・航法・時刻情報(Positioning, Navigation, and Timing: PNT)の耐障害性強化に不可欠であると発表した。報告書「原子の優位性:次世代PNTによる量子センシング加速(Atomic Advantage: Accelerating U.S. Quantum Sensing for Next-Generation PNT)」では、量子センシング技術について、軍事作戦や通信、金融ネットワークなど重要インフラ全般のPNT能力を革新し、GPSの妨害・偽装リスクを克服するものと分析している。現時点では世界の量子センサー関連論文の44%を米国が占めるものの、予算停止や供給網の脆弱性、投資の偏向性により中国に後れを取る危険性があるとし、軍事用PNTの強化や量子デバイスの国内製造基盤の強化、民間インフラへの量子PNT展開、革新エコシステムの育成などを提言、量子技術全体の競争力向上を図る必要性を強調している。 CNAS “New CNAS Report Reveals Quantum Sensors Critical to Strengthening U.S. GPS and PNT Resilience” (05/28/25) https://www.cnas.org/press/press-release/new-cnas-report-reveals-quantum-sensors-critical-to-strengthening-u-s-gps-and-pnt-resilience
GAO、NIHへ外部研究助成金の監視強化を求める
政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は5月29日、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)が約350億ドルの外部生物医学研究助成金を管理する過程で、進捗報告書の提出遅延に対して一貫した対応がなされておらず、未使用資金の追跡・管理も不十分であると報告した。同研究所は2023年度に約6万5,000件の研究助成を行い、助成受領者の財務および進捗報告を監督しているが、約1,000件の報告が提出期限から1年以上遅れていることに加え、これら助成に対する正式な対応が一貫して実施されていない。さらに、多額の未使用資金が発生しているにもかかわらず、これを一元管理・追跡する仕組みがなく、資金の有効活用が妨げられているという。GAOは、遅延報告の要因調査と対応策の策定、未使用資金の管理のための情報提供資源の整備、および未使用資金の追跡を同研究所に義務付けることを勧告した。NIHは、これらの提言に賛同しているという。 GAO “National Institutes of Health: Monitoring of External Research Can Be Improved” (05/29/25) https://www.gao.gov/products/gao-25-107362
2022年の研究開発費、企業からが大半 NCSES発表
国立科学技術統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics: NCSES)は5月29日、2022年の研究支出が2,470億ドル(2017年ドル換算)に達し、そのうち企業からの資金が全体の50%を占め、過去最高となったと発表した。企業からの資金提供は、研究開発における主な原動力で、2010年の650億ドル(全体の38%)から12年間で大幅に増加し、2022年には1,230億ドルに達した。2023年には2,520億ドルに達すると予測している。一方で、同期間の連邦政府出資は780億ドルから850億ドルに増加したものの、全体に占める割合は45%から34%に減少しており、1960年代半ばに63%とピークを迎えて以来、減少傾向が続いている。また、大学や非営利団体、連邦政府以外の機関や組織などが占める割合は、2010年の300億ドルから2022年には390億ドルに増加したが、この期間内の国内の研究資金が大幅増加したため、全体に占める比率は17%から16%に微減した。 Natcast “Natcast Finalizes First NSTC R&D Contracts to Accelerate AI-driven RFIC Design Innovation and Enhance U.S. Global Competitiveness in Next-generation Communications Systems” (05/29/25) https://ncses.nsf.gov/pubs/nsf25333