Category:その他
オープンライセンスに関するAAAS調査、研究成果の誤用を懸念
米国科学振興協会(American Association for the Advancement of Science: AAAS)は6月23日、多くの研究者が自身の論文に適用されるオープンライセンスの内容や影響を十分に理解しておらず、研究成果が不正確に利用されることへ強い懸念を抱いているとする調査結果を発表した。これは、2024年秋に220人以上の研究者を対象に行われた調査で、オープンライセンスに「詳しい」と回答した研究者は52%に留まった。また、28%はクリエイティブ・コモンズ・BYライセンス(Creative Commons: CC BY License)を付与した研究成果の誤用や政治的な利用を懸念している。商業的な再利用については63%が懸念を示しており、その理由としてメディアによる不正確な表現や、適切なクレジット表示なしでのAIモデル学習などを挙げた。同協会は、研究成果が誤用された場合に「何もできない」という誤解が研究者の間で広がっていると指摘し、出版社ライセンスであれば、出版社が介入可能であると説明している。 AAAS “Interests, Concerns and Knowledge Gaps around Open Licenses” (06/23/25) https://www.aaas.org/news/interests-concerns-and-knowledge-gaps-around-open-licenses
商業コンピューティングの電力消費、2050年に最大へ EIA予測
エネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)は6月25日、商業部門におけるコンピューティングの電力消費量が急増し、2050年までに冷房や換気を上回り、最大の電力消費要因になるとの予測を発表した。2025年版年次エネルギー見通し(Annual Energy Outlook: AEO2025)の報告書によると、同部門の総電力消費に占めるコンピューティングの割合は、2024年の8%から2050年に20%へと達する見込みで、主にデータセンターの需要拡大によるものとしている。これにより、技術革新などによる効率化で、これまで減少傾向にあった商業施設の床面積あたりの電力消費量を再び増加に転じさせる可能性があり、データセンターから発生する熱により、冷房や換気の電力需要も同様に増加すると分析している。なお、この予測は人工知能(AI)の急拡大のような革新技術のさらなる影響を考慮しておらず、消費量はさらに上振れする可能性を示唆している。 EIA “Electricity use for commercial computing could surpass space cooling, ventilation” (06/25/25) https://www.eia.gov/todayinenergy/detail.php?id=65564
住宅・都市開発省、NSFビルへの本部移転を発表
住宅・都市開発省(Department of Housing and Urban Development)のスコット・ターナー長官(Scott Turner)は、6月25日に行われた記者会見において、同省本部を現在のワシントンDCからバージニア州アレクサンドリアに移転することを発表した。これは、トランプ政権が推進するワシントンDCにおける連邦政府不動産縮小の取り組みの下で行われる初の主要省庁本部移転となるが、同省職員約2,700人の移転先は、現在米国科学財団(National Science Foundation:NSF)職員約1,800人が使用中のビルとする計画である。NSF職員の移転先は不明であるが、一般調達局(General Service Administration:GSA)公共建築物サービス(Public Building Service)コミッショナーのマイケル・ピーターズ氏(Michael Peters)は、ミッション遂行を継続できるよう支援するとコメントしている。なお、NSF職員が所属する労働組合「米国行政府職員連合(American Federation of Government Employees:AFGE)」は、ターナー長官による決定を批判する声明を発表しているのに対し、バージニア州のグレン・ヤンキン知事(Glenn Youngkin)は、住宅・都市開発省の移転を歓迎している。 WTOP News “HUD plans move to Alexandria, booting National Science Foundation from headquarters” (06/25/25) HUD plans move to Alexandria, booting National Science Foundation from headquarters
NREL開発の調達分析ツール、エネルギー購入時の複雑性を軽減
国立再生可能エネルギー研究所(National Renewable Energy Laboratory:NREL)は6月24日、NRELが新たに開発した「調達分析ツール(Procurement Analysis Tool:PAT)」を使用することにより、エネルギー購入者のニーズに応じたデータに基づく見識を通して複雑性の軽減が可能であることを明らかにした。PATはウェブベースの無料プラットフォームで、オフサイトでの電力調達の初期段階計画・審査を支援し、米国全域の発電所規模でのエネルギーオプションを調査・比較できる。主要機能には、①シナリオ計画、②調達オプション、③技術的見識提供、④個々に応じた結果提供、⑤ダウンロード可能なリソース、などが含まれる。 National Renewable Energy Laboratory “Navigating Utility-Scale Energy Procurement Just Got Easier” (06/24/25) https://www.nrel.gov/news/detail/program/2025/navigating-utility-scale-energy-procurement-just-got-easier
CESER資金受給プロジェクト、エネルギー事業会社用サイバーセキュリティツールを作成
エネルギー省は6月24日、同省サイバーセキュリティ・エネルギー安全保障・緊急対応局(Office of Cybersecurity, Energy Security, and Emergency Response:CESER)が資金を拠出するプロジェクトの下で、サイバーセキュリティ企業のバスタゾ社(Bastazo)及びネットワークパーセプション社(Network Perception)とアーカンソー大学(University of Arkansas)が、エネルギー公益事業会社による自社システムのセキュリティ脆弱性評価を行う手段を提供するソリューションを作成したことを発表した。「V-INT:自動脆弱性情報・リスク評価(V-INT: Automated Vulnerability Intelligence and Risk Assessment)」と呼ばれるソリューションは、組織の複雑なファイアーウォール方針の理解というサイバーセキュリティ最大の障壁に直接対応するもので、現実的なサイバー攻撃のシミュレーションを実施し、攻撃者側に脆弱性がどのように映るかを明確に提示することができる。「V-INT」ツールセットは、バスタゾ社及びネットワークパーセプション社の既存の商業技術プラットフォームに統合されて利用されている。 Department of Energy “CESER-Funded Collaboration Produces Cybersecurity Toolset for Energy Utilities” (06/24/25) https://www.energy.gov/ceser/articles/ceser-funded-collaboration-produces-cybersecurity-toolset-energy-utilities
アイダホ国立研究所、米国初の高燃焼度燃料サンプル過渡試験を終了
エネルギー省は6月24日、アイダホ国立研究所(Idaho National Laboratory:INL)の研究者らが、米国内で初めて行われた核燃料試験を終了したことを明らかにした。INL研究者らは、商業原子炉であらかじめ照射された高燃焼度燃料サンプルの過渡試験を行ったが、試用した実験用燃料棒は、新規燃料技術の開発・ライセンス付与を支援するためにアイダホ州と米国政府との間で締結された協定の一環として、2024年に同研究所に送られた25本の中の1本であった。米国内で高燃焼度燃料の過渡試験が行われたのは今回が初で、米国における核燃料の効率的使用に繋がる新たなデータを提供することが期待されている。INLでは、使用済み燃料輸送に関する安全性試験をあと7回実施予定で、さらに、計画初期段階にある複数の試験を実施する見込みである。なお、今後の試験では、エネルギー省事故耐性燃料(Accident Tolerant Fuel)プログラムを通して提供される実験用燃料棒を使用するが、複数主要燃料提供企業による新たな燃料及びクラッド混合物の開発を支援することになる。 Department of Energy “National Lab Conducts First-Ever High Burnup U.S. Fuel Safety Test” (06/24/25) https://www.energy.gov/ne/articles/national-lab-conducts-first-ever-high-burnup-us-fuel-safety-test
OSTP長官、最高水準科学の導入に向けた指標を発表
大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy:OSTP)のマイケル・クラツィオス長官(Michael Kratsios)は、連邦行政府・省庁の長官宛に6月23日付メモを送付し、トランプ大統領が5月23日に発令した大統領令「最高水準科学の復活(Restoring Gold Standard Science)」に記載された指示に従い、各連邦省庁が最高水準科学の理念を導入するための指標を提供した。クラツィオス長官は、「最高水準科学の重要性」「最高水準科学の理念」「省庁における導入」の3項目に分けて指標を提供し、「最高水準科学の理念」では、①再現可能性、②透明性、③エラー・不確実性の伝達、④協力・学際性、⑤発見事項・仮定への懐疑性、⑥仮説の反証可能性の構築、⑦偏見のないピアレビューの実施、⑧マイナスの結果をプラスの成果として受容、⑨利益相反の不在、という主要理念9項目を挙げ、これらの理念に準拠して科学活動に取り組むよう指示した。また、最高水準科学実行計画を概説した報告書を本メモ発行日から60日後の8月22日までにOSTPに提出し、各省庁のウェブサイトにも掲載するよう指示した。報告書には、1)主要理念各項目への具体的対応策、2)主要理念への準拠・科学の質への影響の評価のために作成する基準・評価システム、3)省庁職員による主要理念の理解・順守のための研修・リソース提供計画、4)最高水準科学の実行に向けた技術の活用方法、5)最高水準科学の実行において直面した問題、を含めるよう指示している。なお、2026年以降は、年次報告書を毎年9月1日までにOSTPに提出することが要求されている。 The White House “Agency Guidance for Implementing Gold Standard Science in the Conduct & Management of Scientific Activities” (06/23/25) https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2025/03/OSTP-Guidance-for-GSS-June-2025.pdf
NSF、TIP主要技術重点領域の評価・更新に向けた情報提供を要請
米国科学財団(National Science Foundation:NSF)は6月20日、技術・イノベーション・パートナーシップ局(Directorate for Technology, Innovation and Partnerships:TIP)の主要技術重点領域の評価・更新に向けて、学術機関、非営利機関、慈善機関、州・地方政府、ベンチャーキャピタル、民間セクタなどに情報提供を要請する情報要求(Request for information:RFI)を連邦官報(Federal Register)で公示した。TIPは、①実用的応用から着想を得たトランスレーショナル研究支援及び連邦資金受給研究に基づく開発・利用の促進、②主要技術開発促進による米国の競争力強化、③主要技術重点分野における国内労働力の拡大及び米国の学生・研究者による社会・国家・戦略地政学的重要領域への参加拡大、を目的として新たに立ち上げられた。連邦議会は、TIP創設時に、1)人工知能・機械学習・自律性、2)高性能コンピューティング・半導体・先進コンピュータハードウェア・ソフトウェア、3)量子情報科学技術、4)ロボティクス・自動化・先進製造、5)自然・人為的災害の予防・緩和、6)先進通信技術・没入技術、7)バイオ技術・医療技術・ゲノミクス・合成生物学、8)データ保存・データ管理・分散型台帳技術・サイバーセキュリティ、9)先進エネルギー・産業効率性技術、10)先進マテリアル科学、を最初の主要技術重点領域としていた。RIFへの回答受付は7月21日までとなる。 Federal Register “Request for Information on Key Technology Focus Areas for the National Science Foundation’s Directorate for Technology, Innovation and Partnerships” (06/20/25) https://www.federalregister.gov/documents/2025/06/20/2025-11374/request-for-information-on-key-technology-focus-areas-for-the-national-science-foundations
OSTP、先進製造国家戦略計画策定に向けた情報提供を要請
大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy:OSTP)は6月20日、国家科学技術会議(National Science and Technology Council)先進製造小委員会(Subcommittee on Advanced Manufacturing)に代わり、先進製造国家戦略計画(National Strategic Plan for Advanced Manufacturing)策定に向けた情報提供を要請する情報要求(Request for Information:RFI)を連邦官報(Federal Register)で公示した。OSTPは、本RFIを通して、米国における製造競争力を進歩させるための連邦プログラム・活動に関する一般からの意見を求めており、これには、雇用創出、複数産業セクタにおける経済成長、国家安全保障強化、医療ケア改善に繋がる先進製造研究開発が含まれる。また、次世代の革新的先進製造技術に向けて重要となる新興科学技術分野や、クリティカルミネラル・マテリアルの海外依存を終了する可能性のある革新的製造技術などを含む具体的質問事項12項目を挙げ、これらの質問への回答を通した情報提供を要請している。 Federal Register “Notice of Request for Information; National Strategic Plan for Advanced Manufacturing” (06/20/25) https://www.federalregister.gov/documents/2025/06/20/2025-11379/notice-of-request-for-information-national-strategic-plan-for-advanced-manufacturing
クリーンエネルギー施設・プロジェクト、5月中に企業が14億ドル相当を中止
経済・環境に好影響を及ぼす政策を支持する無党派グループのE2は、連邦議会上院がクリーンエネルギー施設・プロジェクトを対象とした増税法案可決に向けた取り組みを進めていることから、2025年5月の1カ月間で企業が14億ドル相当の新施設構築及びクリーンエネルギープロジェクトを中止したことを明らかにした。この結果、2025年1月1日以降に中止された工場構築・電力プロジェクトは155億ドル相当となった。中止されたプロジェクトは、新たに雇用約1万2,000件を創出見込みであった。これによる悪影響を受けているのは主に共和党議員を選出した下院選挙区で、共和党選挙区では、2025年に入り、投資90億ドル超及び雇用約1万件が中止・遅延・終了している。5月に中止された14億ドル相当のプロジェクトでは、新規雇用最低1,000件を創出見込みであったことに加え、5月に終了が発表されたプロジェクト5件に従事していた労働者約600人が解雇されることとなった。また、クリーンエネルギー購入者協会(Clean Energy Buyers Association:CEBA)の報告書によると、連邦議会がクリーンエネルギー税控除を撤回した場合、家庭における光熱費は年間平均110ドル以上増加し、企業におけるエネルギーコストは最低10%増になるとしている。 E2 “Businesses Cancel $1.4 Billion In New Factories, Energy Projects in May as Congress Pushes Forward on Tax Increases” (06/23/25) Businesses Cancel $1.4 Billion In New Factories, Energy Projects in May as Congress Pushes Forward on Tax Increases