米国内の構造物は一般的に、風雨や雪、偶発的な地震に耐え得る設計となっているが、ガス爆発や車両の衝撃、制御不能なビル火災などの異常な事象は通常考慮されない。脆弱な構造物がこれらの予想外の事象に直面すると、その結果は惨事となる可能性があるが、新たな建築基準が、エンジニアが最悪の事態を防ぐ助けとなるかもしれない。米国土木工学者協会(American Society of Civil Engineers: ASCE)は今般、「ASCE/SEI 76-23 ビル及びその他の構造物における不釣り合いな崩壊の可能性を軽減するための基準(ASCE/SEI 76-23 Standard for Mitigation of Disproportionate Collapse Potential in Buildings and Other Structures)」を発表した。この種としては初めての建築基準である。これまでの十年間に、米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)主導の研究が情報提供となって開発されたもので、構造物の小さな一部分の故障が伝播し全体または主要部分の倒壊へとつながる(「不釣り合いな崩壊」と定義される)ことを防ぐための設計要件及びガイダンスを示した規格標準である。現時点では、有意義な資源として任意で使用できるものとなっているが、いずれは標準の全体もしくは一部がモデル建築基準に組み入れられ、州や地方自治体に採用される可能性がある。