米国CHIPSの第3R&D旗艦施設にアリゾナ州立大学を指定

商務省(Department of Commerce)とNatcastは1月6日、米国CHIPS(CHIPS for America)の第3の研究開発(R&D)旗艦施設予定地として、アリゾナ州立大学(Arizona State University: ASU)リサーチ・パーク(Research Park)を発表した。米国CHIPS NSTCによるプロトタイピング及び国立先端梱包製造プログラム(Prototyping and National Advanced Packaging Manufacturing Program: NAPMP) 先端梱包パイロット施設(Advanced Packaging Piloting Facility: PPF)は、NSTC及びNAPMPの施設で、ラボでの研究と本格的な半導体生産の間の溝を埋める最先端能力を有する施設となる。本施設は、世界初となる300mmのフロントエンド半導体製造及び先端梱包研究施設となることが期待されている。この施設を通じて、研究者や業界のリーダーは、最新のR&D環境で新規マテリアル、機器、先端梱包ソリューションの開発と試験に取り組む。施設は新規に建設され、2028年に稼働予定となっている。 Department of Commerce “Biden-Harris Administration Announces Arizona State University Research Park as Planned Site for Third CHIPS for America R&D Flagship Facility” (1/6/25)

バークレー研究所、電気化を電力需要予測に組み入れる枠組みを発表

バークレー研究所(Berkeley Lab)は2024年12月、「建造物と輸送の電気化を長期的な電力予測に組み入れるためのガイダンス(Guidance on incorporating building and transportation electrification into long-term load forecasts)」と題する報告書を発表した。報告書は長期予測を立てる上での主要な意思決定のモデリングを特定し、バークレー研究所が最近技術援助を提供したサクラメント自治体ユーティリティ地区(Sacramento Municipal Utility District)とフォート・コリンズ・ユーティリティ(Fort Collins Utilities)の事例を提示している。枠組みは、①使用事例の定義、②範囲の確立、③基本年の電力を選出、④筋書きの選択、⑤技術選定と採用、⑥電力における変化を試算、⑦結果の適用、で構成され、各ステップについて、指針となる質問、提案、事例が提供されている。 Berkeley Lab “New framework for incorporating electrification into long-term electricity load forecasts” (1/3/25)

シリコンバレー要人がワシントンDCに

トランプ政権において、シリコンバレーは、かつてウォール街がそうであったように、ワシントンDCに影響を及ぼす様相である。トランプ次期大統領は、数多くのVC及び技術企業経営者を自身の政権人事に任命しており、特に投資リターンに影響を及ぼす可能性がある政策分野で顕著である。例えば、クラフト・ベンチャーズ(Craft Ventures)の創立者であるデイビッド・サックス氏(David Sacks)は、AI・暗号通貨担当官(White House AI & Crypto Czar)として最も注目を集めており、そのチームにはアンドリーセン・ホロウィッツ(Andressen Horowitz)の元パートナー、スリラム・クリシュナン氏(Sriram Krishnan)が含まれると予想されている。また、同じくアンドリーセン・ホロウィッツのスコット・クポール氏(Scott Kupor)が人事管理局(Office of Personnel Management)の先導役として最もパワフルな役割を担う可能性があり、その他にも数多くのシリコンバレー出身者の登用が指摘されており、イーロン・マスク氏(Elon Musk)の存在も忘れてはならない。トランプ次期政権は、シリコンバレーにとってアクセス可能な政権として形成されつつある。このことは、支持政党に関係なく、全てのVCに目に見える恩恵をもたらすとみられている。 Axios “Silicon Valley is coming to Washington D.C.” (1/3/25)

エネルギー省、エネルギー移行における関係機関間の共同作業を育成

エネルギー省(Department of Energy)は1月3日、画期的な「地域エネルギー民主主義イニシアチブ(Regional Energy Democracy Initiative: REDI)」コンソーシアムに参加する組織として、テキサス州とルイジアナ州で9つの組織を選出したと発表した。この初のコンソーシアムは、関係者とコミュニティの間の共同作業のための枠組みを確立しつつ、エネルギー省が資金提供するプロジェクトに関連するコミュニティの恩恵の調整、開発、実施を目的とした能力強化と直接的な技術援助を提供する。REDIは、コミュニティとプロジェクトの間の共同作業を促進し、エネルギー・システムによって負担を強いられているコミュニティの福利向上に必要な重要な地域的変化に対処する。エネルギー省は今回、REDIコンソーシアムのゴールを支援する上で重要な役割を担う組織として、①サザン大学及び農業機械カレッジ(Southern University and Agricultural Mechanical College)、②湾岸州再生可能産業協会(The Gulf States Renewable Industries Association)、③テキサス気候雇用プロジェクト(The Texas Climate Jobs Project)など9件を選出した。 Department of Energy “U.S. Department of Energy Announces Nine Organizations for Groundbreaking Program to Foster Collaboration Between Communities and Stakeholders in the Energy Transition” (1/3/25)

財務省、クリーン水素生産税クレジットの最終規則を発表

財務省(Department of the Treasury)及び内国歳入庁(Internal Revenue Service: IRS)は1月3日、インフレ低減法(Inflation Reduction Act)によって確立された45V条「クリーン水素生産税クレジット(45V Clean Hydrogen Production Tax Credit)」の最終規則を発表した。業界の成長とプロジェクトの進展を支援しつつ、同法の下で適格のクリーン水素に関する排出要件を順守するため、いくつかの主要な点に対処する大幅な変更と柔軟性が盛り込まれた。今回の最終規則では、水素生産事業者(さまざまなソースによる電力、炭素捕獲による天然ガス、再生可能天然ガス、石炭層メタンガスを使用する場合も含む)がクレジットの適格性を判断する方法を明確化している。また、クレジットの適格になるには、プロジェクトは「一般的な賃金と見習い制度(prevailing wage and apprenticeship)」の基準を満たしていなくてはならない。 Department of Energy “U.S. Department of the Treasury Releases Final Rules for Clean Hydrogen Production Tax Credit” (1/3/25)

バイデン政権、デジタル・ツインズCHIPS製造USA研究所を立ち上げ

商務省(Department of Commerce)は1月3日、米国CHIPS(CHIPS for America)が、半導体研究コーポレーション(Semiconductor Research Corporation: SRC)にCHIPS製造USA研究所の設立を目的として、2億8,500万ドルを提供すると発表した。研究所は、「米国ツインズ半導体製造及び先端研究(Semiconductor Manufacturing and advanced Research with Twins USA: SMART USA)」として知られ、ノースカロライナ州ダーハムに本部が設立される。半導体の国内設計/製造/先端梱包/組み立て/試験プロセスの向上を目的として、デジタル・ツインズをより早急に開発/検証/使用するための取り組みに焦点を当てる。商務省とSRCは、2024年11月19日に本件の交渉に入ることを発表していた。SMART USAの合計投資額は10億ドルを超える。SMART USAは、半導体の設計/製造/先端梱包/組み立て/試験業界の関係機関を招集し、5年以内に、①デジタル・ツインズに関連する共通の課題に協調的な形で対処する、②米国の半導体開発及び製造費用を40%以上削減する、③半導体開発サイクル時間を35%削減する、④半導体製造に関連する温室効果ガス排出を30%削減する、⑤11万人以上の労働者に訓練と教育を提供することを目指す。 Department of Commerce “Biden-Harris Administration Awards Semiconductor Research Corporation Manufacturing Consortium Corporation $285M for New CHIPS Manufacturing USA Institute for Digital Twins, Headquartered in North Carolina” (1/3/25)

国防総省、クラウドソースによるAI確証を支援

国防総省(Department of Defense)の最高デジタル及び人工知能局(Chief Digital and Artificial Intelligence Office: CDAO)は、軍事医薬という観点で、大規模言語モデル(LLM)チャットボットの使用に焦点を当てた「クラウドソースによるAIレッド・チーム確証プラグラム(Crowdsourced AI Red-Teaming (CAIRT) Assurance Program)」パイロットを成功裏に完了した。CAIRTプログラムは、AI確証及びAIリスク軽減に関する手法を、草の根方式でクラウドソースによって生成するという国防総省の取り組みを支援するもので、プロジェクトはクラウドソースを通じて、大量のデータを引き出すことや、広範な関係者を関与させることが可能となる。CAIRT LLMパイロットは、アルゴリズム評価関連の慣行コミュニティの構築に取り組んでいる技術会社、ヒューメイン・インテリジェンス社(Humane Intelligence)が、国防医療局(Defense Health Agency)及びプログラム執行局/国防医療ケア管理システム(Program Executive Office, Defense Healthcare Management Systems: PEO DHMS)との協力により、実施した。ヒューメイン・インテリジェンス社は、敵対的な技法を使ってシステムの頑強性を内部的に試験するレッド・チーミング(red-teaming)手法を使い、具体的なシステム脆弱性を効果的に検出することに成功した。 Department of Defense “CDAO Sponsors Crowdsourced AI Assurance Pilot in the Context of Military Medicine” (1/2/25)

国防総省の戦略的資本局、2025年度投資戦略を発表

国防総省(Department of Defense)の戦略的資本局(Office of Strategic Capital: OSC)は1月2日、2025年度の投資戦略(Investment Strategy)報告書を発表した。OSCが重要技術及び資産、そのサプライチェーンへの投資を信用ベースの金融商品を通じてどのように優先付けるかを概説したもの。ロイド・オースティン国防長官(Lloyd J. Austin III)は2022年12月に、米国の国家安全保障に民間資本を引き付け、拡大することをミッションとしてOSCを設立し、議会は2023年12月に国防承認法(National Defense Authorization Act)を通じて正式にOSCを発足させると共に、OSCが31の対象技術カテゴリー(Covered Technology Categories: CTCs)で活動する適格の企業に、融資や融資保証を付与する権限を認めた。2025年度投資戦略では、これらの新たな権限が盛り込まれ、戦略的競争分野の定義付け、資本配分を最適化するための枠組みの策定、OSCによる投資の具体的な関心分野となる産業部門の特定が行われている。 Department of Defense “Office of Strategic Capital Announces Release of Fiscal Year 2025 Investment Strategy” (1/2/25)

バークレー研究所、電力と天然ガス計画を統合する機会について報告

建造物における電力需要の増大は、電力及び天然ガスの計画に新たな機会と課題を創出している。これまでの所、電力と天然ガスの計画プロセスは概ね別々に行われており、この2つのプロセスをリンクさせる方法について検討し始めた区域はごくわずかである。電力と天然ガスのプロセスを統合させることで数多くの恩恵があるが、それには様々な改革が求められる。バークレー研究所(Berkeley Lab)と規制アシスタンス・プロジェクト(Regulatory Assistance Project)は、「電力と天然ガス計画の統合に関する機会(Opportunities for Integrating Electric and Gas Planning)」と題する報告書を発表した。これは、電力と天然ガス計画の統合を進展させることに関心のある州を対象とした実用的なガイダンスを提供するものである。報告書は、電力と天然ガス計画の統合における4つの課題に基づいて統合計画の特徴を4つに分類し、それに向けた進展を示す指標を特定している。 Lawrence Berkeley Laboratory “Opportunities for Integrating Electric and Gas Planning” (1/2/25)

EPA、カリフォルニア州で炭素隔離を目的とした地下注入を初めて許可

環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)は2024年12月30日、カリフォルニア・リソース・コーポレーション(California Resources Corporation: CRC)の子会社であるカーボン・テラボールト・JVストレージ・カンパニー・サブ 1 社( Carbon TerraVault JV Storage Company Sub 1, LLC : CTV)に、4件の地下注入制御(Underground Infection Control: UIC)クラスVI坑井の許認可を付与した。クラスVI UIC坑井は、二酸化炭素を深い岩層に注入して恒久的な地下貯蔵を行うために使用される。これは、炭素捕獲及び地下貯蔵もしくは地質的隔離と呼ばれる技術で、大気中の二酸化炭素排出を削減し、気候変動を軽減する。4件のクラスVI UIC許認可は、カリフォルニア州で初めて認可されたクラスVIの注入坑井で、EPAが太平洋南西部地域で初めて付与した許認可である。 Environmental Protection Agency “EPA issues first ever underground injection permits for carbon sequestration in California” (12/31/24)