ワイオミング州南西部の小さな石炭町の郊外で、数十億ドルを投資して米国の次世代原子力発電所を建設する初の取り組みが進められている。6月11日から建設が始まった新規の原子炉は、伝統的で巨大な原子炉よりも小型かつ廉価となる見込みである。原子炉を建設しているのは、スタートアップのテラパワー社(TerraPower)で、建設が完了するのは早くても2030年以降となっている上、様々な障害に直面している。原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission)は同社の設計をまだ承認しておらず、これまでに数々の原子力発電プロジェクトが直面してきた遅延や費用の超過を克服しなくてはならない。しかし、テラパワー社には、強い影響力と莫大な資金を持つビル・ゲイツ氏(Bill Gates)が背後にいる。同氏はこれまでにテラパワー社に10億ドルを投資しており、その額は今後も増大する見込みである。ゲイツ氏は、気候変動を解決する最良の方法は、イノベーションを通じてクリーンエネルギーを化石燃料と競争的にすることであると考えている。テラパワー社のエンジニア・チームは、原子力発電所の設計をゼロから行った。現行の米国内の原子力発電所は軽水炉を使用しており、水を使って電力を生産するが、水は高圧のため、事故防止措置として重厚な配管や遮蔽壁が必要となる。テラパワー社の原子炉は、液体ナトリウムを使用することで低圧での運用が可能になっている。