米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は5億7,100万ドルを投じてチリにルビン観測所(Rubin Observatory)を建設中である。これによって天文学者はかつてないほど詳細に空を調査し、暗黒物質及びエネルギーの証拠を探すことができる。これは、基礎研究に資金を拠出するというNSFのミッションの一部であるが、来年、天体望遠鏡が最初の光を見る時、3.2ギガピクセルのカメラは、偵察衛星やその他の軍事ハードウェアを含め、米政府が開示を望まない物も目に映る。では、それによって収集されるデータは何らかの形で制限される必要があるのか? 議会からの圧力を感じているNSFの高官は、NSFの80億ドルの研究ポートフォリオについてその問いを投げ賭け、その回答が基礎研究に混乱をもたらさないことを望んでいる。外部組織のジェイソン(Jason)の専門家委員会は3月、こうした問いかけへのソリューションとして、「研究分野全体をセンシティブとして扱うのではなく、NSFはプロジェクトを個々に評価し、グラント申請者は潜在的なセキュリティ・リスクを特定する。その後NSFは、アワードを決定する前にリスクを軽減または廃除する計画を策定する」ことを提案した。NSFの高官は、プロジェクトごとにリスク評価を行うことは、分野ベースのリスク・メトリックスよりも合理的であるとの見解に同意しているが、年間に4万件以上提出されるグラントの申請者に潜在的な国家安全保障の意味合いに関する議論を含めるというアイデアには賛同していない。こうした中、NSFは、200件の提出済みプロポーザルについてパイロット研究を実施している。これらは全て量子情報科学分野の活動で、その他の多くの基礎研究分野に比べて直近の経済的及び安全保障上の用途が多く含まれる。パイロット研究では、機械学習ツールを使い、プロポーザル内の文章で、その研究がセンシティブであるとみなされるべきことを示唆する文言があれば、警告を発する仕組みである。
Science “NSF tests ways to improve research security without disrupting peer review” (4/5/24)