Category:その他
政府、NSFの建設予算を全額削減
米国物理協会(American Institute of Physics: AIP)は3月31日、政府が米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の2025年度建設予算2億3,400万ドルを緊急支出から除外し、実質的に全額削減したと報道した。議会は、連邦政府支出の厳しい上限を回避するために、前年度最終予算でNSF建設勘定27項目を緊急支出に分類したが、政権がこのうちの11項目を除外した。これにより、NSFの年間予算90億ドルのうち、2.6%に相当する建設予算が削減され、南極の研究基地インフラ整備、テキサス大学オースティン校(University of Texas at Austin)の新スーパーコンピューター、巨大マゼラン望遠鏡(Giant Magellan Telescope)や30メートル望遠鏡(Thirty Meter Telescope)などの主要施設プロジェクトが危機に瀕する可能性があるという。これを受け、上院歳出委員会の共和党と民主党の上級議員が、この措置は違法と異議を唱え、行政管理予算局(Office of Management and Budget: OMB)に書簡を送ったという。 AIP “Trump zeroes out NSF construction budget for FY25” (03/31/25) https://ww2.aip.org/fyi/the-week-of-march-31-2025
超党派AI法案を再提出 国家AI研究リソースを恒久化へ
NEXTGOV/FCWは3月31日、バイデン政権下で試行された国家AI研究リソース(National Artificial Intelligence Research Resource: NAIRR)を恒久的な機関として設立する新たな法案(CREATE AI Act)が提出されたと報じた。元々2023年に発表されていたこの超党派法案は、ジェイ・オーバーノルテ下院議員(Jay Obernolte、カリフォルニア州選出共和党)とドン・ベイヤー下院議員(Don Beyer、バージニア州民主党)によって共同提案され、下院に再提出された。トランプ政権が前政権のAI関連政策を撤回する中で、資金援助が継続できるようNAIRRを米国科学財団(National Science Foundation: NSF)内の常設機関として法制化するもので、民間企業からの資金提供を受け、連邦政府の支出に依存しない形でNAIRRの運営を可能にするという。AI技術の発展に必要なリソースが一般の手に届かない現状があり、この法案によって研究と実験のための共有インフラを確立し、アクセスの民主化を目指すという。 NEXTGOV/FCW “New bill would codify an AI resource piloted under Biden” (03/31/25) https://www.nextgov.com/artificial-intelligence/2025/03/new-bill-would-codify-ai-resource-piloted-under-biden/404187/?oref=ng-skybox-hp
米国開催の国際会議 科学者らの参加見送り相次ぐ
サイエンス誌(Science)は3月31日、トランプ政権下の米国における入国審査の厳格化や政策への反発から、海外の科学者らが米国で開催される国際会議への参加を見送る動きが広がっていると報じた。カナダのウェスタン・オンタリオ大学(University of Western Ontario)のマルコ・プラド教授(Marco Prado)は、カナダ産製品への関税や「51番目の州」発言への反発から、ニューヨークで開催される国際神経化学学会(International Society for Neurochemistry)への参加を見送った。また、中国の教授は学生が1時間以上も税関で研究や中国政府とのつながりについて尋問された例を挙げ、参加を躊躇しているという。さらに、2月に仏科学者が米国への入国を拒否されたことを受け、仏政府はメールや機密文書の持ち込みを避けるよう指示を出したとも伝えた。米国在住の外国人研究者も出国への不安を訴えているといい、特に国際的な共同研究の構築が重要なキャリア初期の研究者にとって、この状況は大きな打撃と伝えている。 Science “International scientists rethink U.S. conference attendance” (03/31/25) https://www.science.org/content/article/international-scientists-rethink-us-conference-attendance
ワクチン部門トップが辞任 FDA新長官が解任合意
ポリティコ(POLITICO)は3月31日、食品医薬品局(Food and Drug Administration: FDA)のマーティ・マカリー新長官(Marty Makary)がロバート・ケネディ厚生長官(Robert F. Kennedy Jr.)との合意のもと、同省ワクチン部門トップのピーター・マークス氏(Peter Marks)を辞任に追い込んだと報じた。マークス氏は、12年以上に亘りワクチン開発に尽力してきた規制当局者で、科学界や製薬業界に大きな衝撃を与えている。ケネディ長官は長年ワクチンに懐疑的な立場を取っており、今回の動きは、ワクチン政策の根本的な変更を示唆するものとして受け止められている。マークス氏は辞任声明で「真実と透明性は望まれていない」と現行体制を批判し、ケネディ氏の方針に強い反対の意を示した。製薬会社や科学者からは、かつて外科医であり研究者だったマカリー氏が、国のワクチン政策変更に対する防壁になると期待されていただけに、さらなる動揺が広がっている。 POLITICO “New FDA commissioner agreed to oust top vaccine regulator after private swearing-in” (03/31/25) https://www.politico.com/news/2025/03/31/new-fda-commissioner-signed-off-on-ousting-top-vaccine-regulator-after-private-swearing-in-00260582
ハイテク業界、外国人従業員へ渡航控える指示 ビザ規制強化で
ワシントン・ポスト紙(The Washington Post)は4月1日、政府の移民政策により、ハイテク企業が高度技術を持つ外国人従業員に対し、国外への渡航を控えるよう警告を出していると報じた。グーグル社(Google)やアマゾン社(Amazon)などの大手テクノロジー企業は、ビザ所有者に対し、出国後、米国への再入国が認められない可能性があるとして、海外渡航を制限するよう通達した。移民法専門家もトランプ前政権時代にビザ却下率が15%まで上昇したことに触れ、政府によるビザ審査の厳格化や処理時間の遅延、申請者のSNS活動などへの監視強化を警告しているという。専門技術者を対象にしたH1Bビザの年間発行数は約6.5万件で、インド、中国、カナダからの申請が多いことに加え、スタートアップの半数以上が移民による創業で、マイクロソフト社(Microsoft)やグーグル社など主要テック企業の最高責任者(CEO)も移民出身であることから、専門家は今回の対応が米国のAI開発競争力を低下させると指摘している。 The Washington Post “Tech companies are telling immigrant employees on visas not to leave the U.S.” (04/01/25) https://www.washingtonpost.com/technology/2025/03/31/immigration-h1b-fear-siliconvalley/
AIを活用した軍事意思決定、明確な運用範囲と訓練が不可欠 CSET報告
安全保障・新興技術センター(Center for Security and Emerging Technology: CSET)は4月、軍事作戦における人工知能(AI)活用には、明確な運用範囲の設定と厳格な訓練体制の確立が不可欠との報告書を発表した。同センターはAIを搭載した意思決定支援システム(Decision Support Systems: DSS)について、運用範囲やデータ品質、人間とAIの相互作用の3つの観点から分析を行った結果、運用には、戦闘データの不足や偏り、予測の不確実性などの課題があることを指摘した。これらのリスク軽減に向け、明確な運用基準の設定、運用者の資格認定制度の確立、継続的な認証サイクルの実施などの提言に加え、AI責任者(Responsible AI Officer)の設置や、システムの不具合や運用ミスの記録を通じた透明性の確保も重要とした。AI-DSS利用には依然として人間の判断が必要であるとしつつ、認証制度の実施などにより、軍事的意思決定の際のAI利用リスクを軽減し、実用化に向け、取り組みを進めるべきとしている。 CSET “AI for Military Decision-Making” (04/XX/25) AI for Military Decision-Making
カーボン・ダイレクト、天然ガス発電へのCCS導入を提言 大規模発電所向け
カーボン・ダイレクト社(Carbon Direct)は3月20日、人工知能(AI)データセンターなどの電力需要急増に対応するため、天然ガス発電への二酸化炭素回収・貯留(Carbon Capture and Sequestration: CCS)技術の導入を提言する白書を発表した。同社によると、CCS技術を導入した天然ガス発電は、炭素排出量を95%削減しつつ、安定的な電力供給が可能となり、発電コストは1メガワット時(MWh)あたり70~100ドルで、原子力発電や蓄電池付き再生可能エネルギーと比較しても競争力があるという。導入には18~36カ月を要するものの、送電網への接続待ちが長期化している再生可能エネルギーと比べ、より早期の電力供給が可能となる利点がある。また、100MW以上の容量がある大規模発電所が最適とし、回収した二酸化炭素の輸送・貯留インフラの整備や、包括的なライフサイクル分析の実施が重要であることに加え、早期に立地の実現可能性調査を実施することも強調している。 Carbon Direct “Carbon capture for natural gas-fired power generation: An opportunity for hyperscalers” (03/20/25) https://www.carbon-direct.com/insights/carbon-capture-for-natural-gas-fired-power-generation-an-opportunity-for-hyperscalers
原子力支持56%に上昇 税額控除の継続を ICF分析
ICFインターナショナル社(ICF International:ICF)は3月27日、米国の原子力発電の経済性や政策・財政支援、燃料供給、廃棄物処理、世論など複数の課題解決による分析を行い、普及に向けて設計標準化と連邦政府の税控除制度の継続的支援が不可欠とする調査結果を発表した。ICFによると、2028年までに電力需要が9%、2050年までには57%増加する見通しの中、原子力発電は24時間稼働可能なゼロカーボン電源として注目を集めているが、新規発電所の建設コストは年間456~863ドル/kWと、風力、太陽光、ガスタービン、蓄電池と比べて著しく高い。大手ハイテク企業が小型モジュール炉(Small Modular Reactor: SMR)に関心を示しているものの、実証プロジェクトが稼働しているのは中国とロシアのみであり、ウクライナ危機以降、濃縮ウランの供給が不安定化し、燃料調達も課題であるという。一方、世論調査では原子力支持が2016年の43%から2024年には56%に上昇し、社会的受容性は改善傾向にあると報告している。 ICF “5 factors that will shape nuclear energy’s future” (03/27/25) https://www.icf.com/insights/energy/nuclear-energy-growth-factors
NIH、研究助成金申請・審査プロセスを簡素化
州科学技術研究所(State Science & Technology Institute: SSTI)は、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)が2025年1月25日以降の研究助成金申請と審査プロセスを変更すると発表した。より効率的な審査プロセスの実現と、研究プロジェクトの本質的な価値評価に重点を置くことを目的としたもので、研究プロジェクト助成金(Research Project Grant: RPG)申請のピアレビューから、中小企業など複数のプロジェクト助成金を除外し、審査基準を従来の5項目から3項目(研究の重要性、厳密性と実現可能性、専門知識とリソース)に簡素化する。また、外国組織からの申請、特定の研究分野、リソース共有計画などの審査はNIHスタッフが直接行うこととなり、ピアレビュー担当者はプロジェクト実施の有無の判断に重点を置くことになるという。フェローシップ申請においては、研究訓練計画の詳細や申請者の資格に関する情報提供が強化される一方、多様性・包括性に関する採用計画は申請要件から除外された。 SSTI “NIH posts modifications to proposal application and review process” (03/31/25) https://ssti.org/blog/nih-posts-modifications-proposal-application-and-review-process
NSF助成、トランプ政権下で半減
サイエンス誌(Science)は3月31日、米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の新規研究助成金交付が、トランプ大統領の就任以降、前年同期比で半減したと報じた。NSFの公開データベースによる独自分析によると、2025年1月から3月までの新規助成金件数は919件で、前年同期の1,707件から大幅に減少しており、金額ベースでも3億1,200万ドルと、前年の7億6,100万ドルから急減した。特に教育部門では、助成件数が120件から12件に激減し、工学部門も351件から63件へと落ち込んだ。セスラマン・パンチャナサンNSF長官(Sethuraman Panchanathan)は「科学事業の推進は継続している」と主張しているものの、このボトルネックの原因について、助成審査の最終段階で停滞が生じている可能性が指摘されている。プロセスは通常、科学者が提案書を提出後ピアレビューが行われ、高評価を得た場合にプログラム担当者が資金提供を推奨し、部門長による承認を経て、予算・財務部門に送られる仕組みとなっている。 Science “NSF has awarded almost 50% fewer grants since Trump took office” (03/31/25) https://www.science.org/content/article/nsf-has-awarded-almost-50-fewer-grants-trump-took-office