最近発表された全米経済研究所(National Bureau of Economic Research: NBER)の論文「米国の技術クラスターにおけるイノベーションの波及(Innovation Spillovers across U.S. Tech Clusters)」によれば、複数の技術クラスターで活動を行っている企業は、導管のような役割を担い、遠隔地の間での知識の移転や生産性の押し上げをもたらしている。しかし、一部の企業は他の企業に比べ、そうしたことを容易に行うことができているという。こうした洞察は、「イノベーションの恩恵はどのようにして地理的に拡散するのか」に関する理解に問いかけをするものである。NBERの研究者は、米国特許商標庁(United States Patent and Trademark Office: USPTO)と国勢調査局(U.S. Census Bureau)のプラント・レベルのデータを組み合わせ、技術クラスター間のイノベーションの波及効果の範囲と影響について調査した。分析結果は、技術クラスター間の相互の結びつきに大きな変動があることを明らかにした。最も結びつきのあるプラントは平均11.3件のクラスターと結びつきがあり、8,000人以上の発明家の知識に触れる機会がある。一方、最も結びつきの少ないプラントは、わずか1件のクラスターとの結びつきしなかく、接する機会がある外部の発明家はわずか32人であった。NBERの論文によれば、結びつきのあるクラスター内の発明家の数が多ければ多いほど、発明家の生産性(特許数で測定)とプラント・レベル全体の生産性が大幅に向上する。